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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2020年6月の記事一覧

21世紀のラテンジャズ / カリビアンジャズ ガイド by Jazz The New Chapter

僕は『Jazz The New Chapter』という本で、21世紀に入ってからカリブ海の国々やそれらの国からのアメリカやイギリスへの移民やその2世や3世が作る音楽が面白くなっていて、彼らの存在感もどんどん増していて、それがアメリカやイギリスのジャズ・シーンに影響を与えているという話を何度かしてきました。 個人的にラテンジャズ、カリビアンジャズについては少しづつまとめて整理していたので、多少のおまけをつけて公開します。 ミュージック・マガジン2020年6月号の「ニュー・ス

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「COVID-19とジャズ:非常事態宣言下のアメリカのジャズ・シーンの取り組み」と「個人と社会のこと」

ビルボード・ジャパンからCOVID-19禍での音楽の状況について計4回で連載してほしいとオファーがあり、以下の4つの記事を書きました。 僕が書くということはジャズについて書くということになるのと、僕が書くということは音楽ビジネスとは別の側面の文脈になるので地味な話になりますがいいですか、たぶん話のメインは「教育」になると思います、って感じでやり取りしてOKもらってから書いたので、革新的な技術も、斬新なアイデアも出てこない実に地味な話の連載になりました。 1回目はかなり早く

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interview Camila Meza - カミラ・メサ:この世の中の、できる限り最高に美しいバージョンを作り出すことに関しては、誰だって貢献できるはず

※記事に合わせてプレイリストを作ったのでBGMにどうぞ。 2019年10月にヴォーカリストでギタリストのカミラ・メサのインタビュー(2度目)を行った。それは以下のリンクで公開している。 この時は彼女が同年にリリースした『Ambar』についての話をしてもらい、サウンドの話だけでなく、メッセージ性の強い楽曲をカヴァーした意図についても語ってもらった。 彼女の言葉の中では 「政府が真っ先に攻撃するのはいつもアーティストだった。アーティストは真実を語ってしまうし、会話の口火を

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interview Camila Meza"Ambar" - カミラ・メサ:政府が真っ先に攻撃するのはアーティスト。アーティストは真実を語ってしまうし、会話の口火を切ろうとするから。

チリ出身のヴォーカリストでギタリストのカミラ・メサはダウンビート誌クリティック・ポール「Rising Star」にも名を連ねる現代ジャズ・シーン屈指のヴォーカリスト。何度も来日しているだけでなく、2019年にくるり主催の京都音楽博覧会に出演したこともあり、彼女のことをご存知の方も少なくないだろう。 これまでファビアン・アルマザンやライアン・ケバリーのアルバムで美しいアンサンブルの中の「楽器のひとつ」としてその声を響かせてきたカミラ・メサが自分自身のためにストリング・カルテッ

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2020年のスタンダード・ナンバー:Sam Gendel『Satin Doll』とRafiq Bhatia『Standards, Vol.1』

■80年代以降のスタンダード・ナンバージャズの世界ではスタンダード・ナンバーと呼ばれる曲がある。 「枯葉」「いつか王子様が」「サマータイム」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「マイ・フェイバリット・シング」などなど、ジャズ・ミュージシャンのオリジナル曲から、ミュージカルや映画の名曲など、ジャズの世界で繰り返しカヴァーされて、定番曲となった曲のことだ。 ジャズ・ミュージシャンたちはそれらを繰り返しカヴァーし、多くの人が演奏してきた曲をどれだけ斬新なアレンジで、どれだけ斬新な

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