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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2019年4月の記事一覧

ジャズリスナーのためのビヨンセ『HOMECOMING:THE LIVE ALBUM』

ビヨンセが2018年に音楽フェスのコーチェラでやったライブ音源が『Homecoming:The Live Album』としてリリースされた。世界が最も注目するフェスのためにビヨンセとそのチームがこのショーを #beychella と名付けて、特別に作り上げてきたプログラムは音楽史に残る偉大な記録になった。 その特別さに関しては、衣装とかメッセージとかゲストとか検索すれば詳しいものがいくらでも出てくるので、それらをググって参照してほしい。例えば、若林恵のこれとか必読。 ここ

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Film Review:映画『グリーンブック』はドン・シャーリーのピアノと劇中の音楽がすごいこと(ネタバレあり)

以下のリンクにあるotocotoへの連載で映画『グリーンブック』について書いた。ただ、オープンなメディアなのでネタバレを注意して書いている。ここではその音楽部分をもっと深く考察するために、がっつりネタバレありで書いてみたい。 ジャズ・ピアニストのクリス・バワーズが手掛けた『グリーンブック』の音楽部分がとても優れていたという話は上の記事にも書いたが、ここでは実際に映画を観た人向けにもう少し書いてみたい。 黒人ピアニストのドン"ドクター"シャーリーと、シャーリーの運転手兼ボデ

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interview Michel Camilo : ミシェル・カミロ に影響を与えたビッグバンド・ジャズと『Essence』のこと

ドミニカ共和国出身のラテンジャズの巨匠ミシェル・カミロはピアニストである。同時に「On Fire」のような名曲を生み出した作曲家でもある。そして、ミシェルは編曲家でもある。これまでにクラシックのオーケストラやジャズのビッグバンドとの共演を幾度となく果たしていて、共に録音も複数回ある。ラテンジャズをベースにしたアンサンブルに関しては、かなりキャリアと経験がある人なのだ。 ここではビッグバンドでのアルバム『Essence』をリリースしたのをきっかけにピアニストではなく、むろんラ

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About Roy Ayers : ロイ・エアーズ - レアグルーヴ~ヒップホップ~ネオソウルなどが再評価したレジェンドのこと

キング・オブ・ヴァイブス、キング・オブ・ネオソウルなどとも呼ばれるレジェンドのロイ・エアーズに取材する機会を得た。 以前から僕はロイ・エアーズのその音楽性のことをよく考えていた。ジャズでもソウルでもファンクでもないその不思議な音楽性は他に類を見ない。90年代以降の再評価は来るべくして来たものだったと僕は思う。僕はその再評価される理由をきちんと考えてみたいと思った。それやったのがRolling Stone Japanでのインタビューだ。 そして、そのインタビュー記事と併せてよ

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