書評:『Jazz Thing ジャズという何か ジャズが追い求めたサウンドをめぐって 』(原雅明 著)
原雅明という人は非常に特殊な音楽評論家だ、というと本人は嫌がるかもしれないが、僕にとって原さんは特殊で、特別で、いつも唯一無二の原稿を書く人だった。
ポストロックや音響派、アンダーグラウンドなヒップホップやIDM、エレクトロニカ、そして、ある種のオルタナティブなジャズなどについて、彼が書く原稿はいつもとびきり個性的だった。でも、それは奇をてらっているわけでも、誇大な物語をぶち上げるのでもなく、むしろ慎ましさと丁寧さがあり、ある種の不器用さみたいものさえ感じるときさえある。そ