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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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2016年12月の記事一覧

ソランジュの『A Seat at the Table 』はボーカルが素晴らしくて、聴き込むほどに良くなる傑作だった

Solangeの『A Seat at the Table 』を聴き直してみたら、このアルバムはソランジュの歌がすごいんじゃないかと気付いた。 起伏と抑揚、そして感情を抑えた歌がじわじわ来る。ミニー・リパートンの「Lovin You」の歌唱をキュートさを残したまま感情部分をダークに反転させたようなハイトーンボーカルが時折聴こえてくるんだけど、それに痺れまくった。これ、名唱だと思う。 ダイナミズムが極力省かれた歌はレイドバックしているわけでもないからソウルフルでもジャジーでも

アリシア・キーズ『Here』が年間ベスト級に素晴らしいことと、ニーナ・シモンとローリン・ヒルのこと

アリシア・キーズの『Here』は今年の年間ベストの一つ。大好きなアルバムなので、毎日、こればっかり聴いてます。スウィズ・ビーツ、ファレル・ウィリアムス、ナズ、エイサップ・ロッキーなどが参加したり、いろいろ豪華ですが、その辺はソニーの公式ページを見てください。➡ 公式ページ 『Here』はゴスペルやフォークやヒップホップ、レゲエ、ハウスなどが入り混じったR&Bなんだけど、メッセージ性もありつつも、その込め方が抑えめで、かつカジュアルで軽やかで風通しがいいアルバム。日常の中に溶

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