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review is a diary

新譜のディスク・レビューのような感じで音楽に関するテキストを書きます。最低週1本くらいのペースで更新していけたらと思っています。noteにインタビューを沢山公開した月は更新少ない…
ディスク・レビューのような感じで音楽に関するテキストを書いてます。更新は最低週一回。長いものはほぼ…
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2023年4月の記事一覧

2023 012:London Brew

マイルス・デイヴィスの『Bitches Brew』と言えば、マイルスの代表作のひとつでもあり、ジャズの歴史を変えた一枚でもある。1970年に発表されたこのアルバムは、音楽の在り方さえも変える衝撃があったと言われている。実際にこの時期のマイルスのサウンドは定期的に再評価が行われ、後の音楽に多大な影響を与え続けてきた。それはジャズに限らず、多くのロックをはじめ、90年代以降にはポストロックやエレクトロニック・ミュージック、そして、ヒップホップなどに多岐にわたる。ジャンルを乗り越え

2023 011:Christian McBride's New Jawn - Prime

ジャズにおいて編成と音楽性が必ずと言っていいほど結び付けられるケースがいくつかある。その中でも特に顕著なのがトランペット、サックス、ベース、ドラムのカルテットだ。

2023 010:スティーヴ・ライヒ 『18人の音楽家のための音楽』by コリン・カリー・グループを観た

スティーヴ・ライヒ 18人の音楽家のための音楽を聴いてきました。 会場で会ったクラシック音楽の評論家の小室敬幸が「妻が前日に聴いて感動してた」と言っていて、「ん?ライヒで感動?」と思ってたけど、まんまと感動してしまいました。 想定外にエモーショナルで身体も動く。 極上の体験でした。

コラム:ブランフォード・マルサリスのこと

※ブランフォード・マルサリスの2023年5月17日サントリーホールでの来日公演のためのコメントを書いたんですが、そのコメントの完全版です。 これはケンドリック・ラマーの名盤『To Pimp A Butterly』を手掛けたサックス奏者でプロデューサーのテラス・マーティンの言葉だ。ケンドリックのアルバムの冒頭でジャズ・ミュージシャンの演奏を鮮烈に響かせたあの名曲はブランフォード・マルサリスのサウンドが参照されていた。この曲のレコーディングでテラスはロバート・グラスパーに「ケニ

interview Makaya McCraven:時を経て形を何度も変えた楽曲の断片を繋ぎ合わせて作る”時間を超えた”作曲法

マカヤ・マクレイヴンの『In These Time』は新たな金字塔だ。 これまで「生演奏」と「ポストプロダクション」を巧みに共存させてきたマカヤが、そこに更に「作曲」「編曲」を加え、その四つのプロセスの境界がわからなくなるほどに溶かしてしまった『In These Time』には誰もが驚いた。どこからどこまでが作編曲された楽曲を生演奏したものなのか、どこからどこまでが解体再構築されたものなのか、ちょっと聴き込んでもさっぱりわからない。すべては滑らかに混ざり合っているが、ところ

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interview Wolfgang Muthspiel:私の気持ちは縦に連なるコードではなく、ヴォイスの並び、つまりラインにある

90年代以降のジャズ・ギターが好きだったリスナーにとってウォルフガング・ムースピールは特別な存在だろう。パット・メセニーやジョン・スコフィールド、ビル・フリゼールらの時代とカート・ローゼンウィンケル以降の時代を繋ぐような存在だからだ。 ヴィブラフォン奏者ゲイリー・バートンのグループにパット・メセニーの後釜として加入しているが、ムースピールの後には2000年以降はジュリアン・ラージがその席に座った。 またドラム奏者ポール・モチアンのエレクトリック・ビバップ・バンドにも加入し

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