母と腹膜透析

昨夜の地震で、東北の震災を思い出した人は多いと思う。私にとっては、もう一つ忘れられない記憶がある。

この年、母の腹膜透析が始まった。母は、長年の高血圧がたたって、腎臓の機能をほぼ失っていた。身体中に水が溜まり、浮腫んで、足などは、まさに丸太のようにパンパンだった。

おそらく肺にも水が染み込んでいたのか、夜も横になって眠らず、座ったまま寝ていた。横になるように言っても、恐らく息苦しくて、無意識に起き上がってそのまま寝落ちする…という状態だったのだと思う。

2011年の3月の終わりから、透析のための準備が始まることになっていた。腎不全の治療として、腎移植、血液透析、腹膜透析がある中、母は腹膜透析を選んだ。それぞれの治療法の説明の中で、その方が体へのダメージが少ないという理由(と記憶している)と、通院回数が少ないことにより、身体への負担が少ないと判断したからだった。

腹膜透析は自宅で自分で行う(機械で行うものもあるが母は嫌がった)ため、ある程度の手技を覚えなければならず、2週間ほど入院した。それが、2011年の3月の終わりだった。

母が入院して数日経った日に面会に行った時に、ひとまわり小さくなってあまりにも元気そうだったのに驚いたのを覚えている。透析を始めたことによって、身体中の余計な水分と毒素がすっかり抜け切ったらしく、なによりも本人が元気を取り戻していた。

腹膜透析の手技についての詳細は省くが、最初に説明を聞いた時は、こんなの覚えられないとパニックになった。でも不思議なものでこれも慣れればなんてことはない。もちろん、衛生面ではかなり神経を使うが、それさえ気をつけていれば、問題なくできる。70歳の母でも問題なくできた。さらに、母の場合、朝の9時から夕方4時までは、透析なしのフリータイムなので、普通に過ごすことができた。

それから、今年で11年目。もともと腹膜透析を始めるときに、先生から、5、6年くらいで血液透析に切り替えることにはなると聞いていたが、今も腹膜透析は継続できている。最初と違うのは、除水(体から水を抜くこと)が足りないので、週に1回の血液透析と併用していることくらいだ。

慢性腎不全の人の中で、腹膜透析を選ぶ人は、少ないと聞く。母が始めたのは70過ぎてからだけど、若くして、透析を始める人には、自宅で自分でというのはなかなか難しいだろう。(環境次第で勤め先でもできる)お腹に管を通さなければならないし、不安もあると思う。

この、記事を読んで少しでも参考になればという、思いで綴っていきたいと思う。

#血液透析 #慢性腎不全
#介護 #腹膜透析


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