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カマンベールチーズもびっくり

ある日の晩御飯時、あるテレビ番組でカマンベールチーズが取り上げられていた。

「カマンベールチーズに驚きの効果!なんと、カマンベールチーズは認知症予防に効くんです! 」

「何かの食べ物が健康に良い」という番組や記事は、日々山のように量産されている。いろんなものを適当な量食べればいいんじゃない?と思うんだけど、まぁ、それじゃネタにならないのだろう。

カマンベールチーズといえば、1990年あたりのワインブームの時に、ボジョレヌーボーや高級ワインなどと一緒に日本に入ってきたように記憶している。私はまだワインを飲む年齢になっていなかったが、ワインと一緒に紹介されるチーズは私たちにも届いた。

それまで食べたことのあるチーズは、6Pチーズ、魚肉ソーセージの小型版のようなパッケージで給食に出ていたチーズ、キャンディ包みのチーズ、トーストの上に乗せて焼くシート状の黄色いチーズ。とにかくプロセスチーズしか知らなかった。

そんなところに、カビが生えたチーズというものがやってきた。さすがにブルーチーズなどはハードルが高かったが、比較的味がまろやかなカマンベールチーズはあっという間に市民権を得ていったように思う。

フランスのカマンベール地方でのんびり暮らしていたチーズが勝手に極東の日本に連れてこられ、快適に過ごしていたところに、いきなり「認知症予防に効きます!」と言われたって、カマンベールチーズの方が、「なんで?」と驚いた違いない。

カマンベールチーズ心の声。

『そんなこと言われたって困るわ、ただのチーズやし。知らんがな。』

番組を見ながら、物忘れが気になり始めるお年頃のダンナさんが興味を示していたので、「冷蔵庫にカマンベールチーズ入ってるよ」とお知らせしておいた。

チーズは常備。私の摂取するたんぱく質のほとんどはチーズとヨーグルトじゃないかと思うほど、乳製品にはお世話になっている。

お風呂上がりのダンナさんに、もう一度「カマンベールチーズがあるよ」と言うと、食べたいと言うのでで一つ渡した。アルミホイルのパッケージをチリチリと開き始めた。

その時、彼は尋ねた。

「ところで、これ、何に効くんだっけ? 」




・・・もう時すでに遅し。



『俺たち何に効くんやっけ?なんやっけ?こっちが聞きたいわ!』

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