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スケジュール共有アプリ「TimeTree」にみる、企業コミュニティの新たな可能性

こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
先日『日経クロストレンド』で、家族と予定表を共有できるアプリ「TimeTree(タイムツリー)」のデータ分析によるトレンド予測の記事を読みました。

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率直な感想は「あれ?ここでも個人のデータを利用されている?」。やや搾取されている感を持ちながらも、データ活用のアイデアとしては優れていると感じましたので、今回取り上げてみることにしました。

私は前職で食品メーカーのマーケティング部門に所属していたため、お客様であるスーパーマーケットに対して販促提案をする機会がありました。その一環で、季節や流行に合わせたプロモーションを行うメンバーと、アイデアを出しあったことがあります。

スーパーマーケットでは一般的に1年間を52週間に分け、週ごとの販促企画カレンダーを作成しています。例えば、クリスマスや昨今定番になったハロウィンを代表格として、節分(最近は恵方巻で売り場が賑わいます)、卒業・入学、ゴールデンウィーク、敬老の日、母の日、父の日など、カレンダーに合わせてさまざまな企画提案のアイデアを捻り出します。その際に実際の消費のトレンドの根拠として使えるデータは、総務省統計局が発行する家計調査の結果くらいでした。

「TimeTree」は、2024年5月時点で5,500万人の登録ユーザーを全世界で抱えるカレンダーシェアアプリです。このアプリを提供するTimeTree未来総合研究所では、ユーザーが登録した予定データを、匿名性を保った状態で収集し、統計的に分析することで世の中のトレンドを把握しているそう。

例として、同社が「TimeTree」ユーザーの予定動向をまとめた「未来データレポート」6月版では、結婚式の予定登録者の割合がコロナ禍後に回復傾向にあるという結果を公開しています。また、結婚式そのものの予定に加えて、ハネムーンや新婚旅行、そして近年はフォトウェディングがトレンドであるなどの傾向もレポートしています。

季節感や自身の経験から、どの時期にどんなイベントが多いかは肌感覚でわかると思います。しかし、リアルタイムの傾向や関連する行動については、データを見て初めて気付くこともあるのではないでしょうか。予定表に記入された情報をビッグデータとして統計的に処理し、トレンドの分析に活用する発想はさすがですね。

この例から学ぶ点は、普段当たり前のように持っているデータが、見方を変えることで別の何かに応用できる可能性があるということです。オンライン上で運営される企業コミュニティは、そういったデータの宝庫といえます。コミュニティ内の会員の行動を「データ」として捉えることで、新たなマーケティングのアイデアが生まれるかもしれませんね。