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新感覚SNS「BeReal」に見る、インターネット上の他人との距離

こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
先日、NHKの情報番組「あさイチ」で「コレがクる!?押さえておきたい今年のトレンド」という特集を放送していました。番組内で9個のキーワードを取り上げていましたが、「スペパ」「クルンジ」「ぬいポーチ」など、おじさんには何のこっちゃ?と想像もつかないものばかりでした(汗)

そのなかで気になったのが、「映えないSNS」というキーワードです。どうやら、「BeReal」というSNSがZ世代を中心にウケているとのこと。少し調べたところ、「インターネット上における他人との距離に変化が生じているのかな?」と思い至り、今回のテーマにしてみることにしました。

「BeReal」の特徴は、日常の1コマをリアルタイムでシェアする「盛れない」「映えない」全く新しいSNSということ。フィルターをかけるなどの加工ができないため、「素のまま」の姿を友人にシェアします。アプリから1日1回ランダムな時間に通知が来て、それを開くとカメラに切り替わり、2分以内にインカメラ/アウトカメラの両方で撮影し投稿する仕組みになっているそうです。

SNSというと、X(旧Twitter)やInstagramで「目ぱっちり、まわりキラキラ」のいわゆる「映える」写真を投稿するのが当たり前(むしろ、それを見せるのが目的)だと思っていました。もちろん、そういった傾向が衰退しているわけではないでしょう。その一方で、「BeReal」のような「ありのまま」「等身大」を見せるSNSが好まれるのは、インターネット上での他人との付き合い方が変わってきているのかもしれませんね。

自分と他人の距離感

上の図は、自分と他人の距離感を視覚的に表したものです。領域の大きさは人によって違うものの、きっと誰しも踏み込まれたくない「個人の領域」というものを持っているはず。そして、「ここに踏み込まれると不快」というラインを感じながら、職場や学校、家庭、地域、趣味の場などで社会生活を送り、他人と交わるための「緩衝領域」を使って上手に人間関係を組み立てているのだと思います。この緩衝領域が個人の領域に近づけば(超えないラインで)、「信頼関係」や「本音の付き合い」のような関係になるのでしょう。

インターネットを介した付き合いも同じではないかと考えます。ただ、ほぼリアルの出会いがないインターネット(特にSNS)の付き合いには、この緩衝領域の外に「忖度の領域」が存在します。SNS特有の「映え」や「賞賛」といったアクションは、踏み込まず・踏み込まれず、程よい距離感を保つためのテクニックとも言えますね。

そんなインターネットやSNSとの関係に慣れている我々は、「BeReal」がウケている理由をどう解釈すればいいのでしょうか。私は、「忖度の領域への飽き」と「信頼関係や本音の付き合いの回帰」のように感じています。

コロナ禍が明け、生活やビジネスのあちこちでリアルに他人と接する機会が増えています。一方で、オンラインを効率的に活用するというスキルも身に着けました。リアルとオンラインの両方のメリットを融合させた、より面白く心地よい空間が求められているのかもしれません。「BeReal」はその空間に「ルール」を提示し、緩衝領域のなかで信頼関係や本音の付き合いを巧みに提供している場ということで、受け入れられているのだと思いました。