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コミュニティが盛り上がらない!休眠会員を起こすにはどうしたらいいの?


拡大するコミュニティの規模と盛り上がりの変化

こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
最近、とある企業のコミュニティ担当者の方とお話する機会がありました。そのコミュニティサイトはとても素敵なデザインで、会員も多く集められているとのこと。順風満帆だなと思いながらお聞きしていたのですが、ご本人たちの評価は「いまひとつ、コミュニティが盛り上がっていない」でした。はてさて、一体どんな理由があるのでしょうか?

よくよくお話を伺うと、たくさん集まった会員のなかに「休眠メンバー」が多いのだとか。アンケートに回答してくれたり、コメントやいいねをつけてくれたりする、いわゆる「アクティブ会員」の割合が低下していくのは、ある程度仕方がないこと。コミュニティが大規模になればなるほど、それは顕著に現れるものです。「アクティブ率」のようなKPIで管理していると悪化する一方となり、「このままでよいのだろうか?」と不安になりますよね。

そう思ったタイミングが、会員の興味・関心を引くアクション、そしてそれを計測するKPIの再設計を行う機会なのかもしれません。

会員グループの再設計とKPIの見直し

長期間運営してきたコミュニティの場合、会員登録したきっかけはさまざまで、時期によっても大きく異なります。話題の商品や世の中のブームに乗って流入した会員が、その後変化していくテーマに継続的に興味を持ってくれるかというと、必ずしもそうではありません。まずは、「どの会員が休眠になっているのか」を把握することが大切です。

図のように会員をリスト化し、代表的なキャンペーンやイベントの参加有無をプロットする方法をとるといいでしょう。新規会員になったタイミングと休眠したタイミングでマークの色等を変えれば、わかりやすいかもしれません。

そして、興味を失った会員に対して、限定キャンペーンなどを行うとよいと思います。具体的な例をひとつ。私が前職で運営に携わっていた「&KAGOME(アンドカゴメ)」では、新規入会時期を限定し、その会員だけを対象に「ウェルカムプレゼント企画」を実施しています。

さらに、新規会員となったきっかけ(最初のアクション)と、休眠するきっかけ(最後のアクション)をおおまかにグループ化してみましょう。

図を例にすると、商品Aのキャンペーンに応募している0001さんと0003さんは、同じことに興味・関心を持っている可能性があります。夏のイベントに参加している0002さんと0004さんも同様ですね。これらを同じグループと見なすのです。

会員登録や休眠のきっかけが把握できていれば、先ほど紹介したウエルカムプレゼント企画も、より興味・関心を引くテーマで行うことが可能です。例えば、商品Aのキャンペーンに応募した0001さんと0003さんのグループには、商品Aに類似した商品のプレゼントキャンペーンが考えられます。また、夏のイベントに参加した0002さんや0004さんのグループには、イベントを対象としたコメント&画像投稿キャンペーンなどがいいかもしれません。

ポイントは「一人ひとりの興味関心に応える」こと

かなり乱暴な例で説明しましたが、要はOne to Oneマーケティングと同じ考え方で、「一人ひとりの興味・関心を満たすコミュニケーション」を行うことがポイントです。

とはいえ、何万人規模のコミュニティでは、一人ひとりの興味・関心に応じることは現実的ではないので、前述のようにグループ単位で施策を行うことになります。グループを細かく分ければ、コンテンツ生成や情報発信の量も増えるため、運営体制にも注意が必要です。自社の人員にプラスして、社外のサポート要員を確保するのもいいでしょう。今後AIが進化し、こういった細かいコンテンツの作成や出し分けを自動的に行ってくれるようになることを期待したいですね。

興味関心グループに分けたアクションに応じたKPI設計は?

こうしたアクションによって、休眠しかけていた会員がアクティブに態度変容したのであれば、その変化の割合を新しいKPIとして採用することも可能ですね。また、この変化のために、情報発信やプレゼントキャンペーンなどにコストがかかっている場合は、投下コストと変化した割合の比率をKPIとするのが正しいかもしれません。

いずれにせよ、「全会員」を対象にしたKPIとは別の指標を持ち、コミュニティを管理していくことのほうが、本質的なマーケティングへの貢献や、コミュニティの価値を計測する方法としては健全と言えるでしょう。

最後に、いかなる再度の投げかけにも応じてくれない会員について触れておきますね。この完全な休眠会員には、何の価値も無いかというと、そうとも言えません。管理に特別なコストがかかるようなら別ですが、IDと属性を把握した会員としてリストに残しておくこともひとつの選択肢です。その際は、会員登録時期や登録のきっかけなどを属性としてデータに追加するといいと思います。

「企業コミュニティQ&A」第7回まとめ

コミュニティの規模が大きくなると、高い確率で「盛り上がらない」という悩みにぶち当たります。コミュニティ内の企画やキャンペーン、イベントに反応が無い休眠会員に対しては、会員登録のきっかけやコミュニティ内の活動履歴をもとにした「新しい興味・関心のグループ」を形成して、グループごとにアクションを投げかけることが理想です。グループ単位での施策が必要となるため、企画やコンテンツ作成、発信といった作業が増えることが予想されます。社内・社外を含め、運営体制の充実を図ることが重要となるでしょう。

次回もお楽しみに。