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コミュニティ運営の集客アクションで心がけたいことって?


コミュニティの集客は必要?どのくらいの規模が理想?

こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
コミュニティをスタートするとき、当然のことながら、会員数はゼロ人です。そこから集客を重ね、コミュニティの成長につなげていくわけです。「Q&Aコーナー」第5回目は、コミュニティ運営における集客についてお話しますね。

さて、まずはコミュニティに集客が必要なのかというところから考えてみます。コミュニティの立ち上げにはきっと(たぶんマーケティング上の)目的があり、その目的を実現するために一定規模の会員数は必要だと思います。

では、いったいどの程度の会員数を集めればいいのでしょうか?SNSによる拡散方式のマーケティングが主流だった時代に立ち上げられたコミュニティは、SNSのフォロワーと同様に、規模を追うものが多かった印象です。中には100万人を超える会員を集めたコミュニティもありました。そこでは、集まった会員に対してプレゼントキャンペーンを実施し、商品の認知を獲得することが重視されていました。しかし、インセンティブ目当ての会員が少なくないこの形態は、やがて沈静化していきます。

100万人規模で集客するコミュニティが悪いとは言いませんが、効果の面では疑問に感じます。というのも、100万人を集められるような規模のコミュニティは、超がつくほどの大企業が運営していることが多く、企業名の認知率はほぼ100%でしょう。

過去の調査では、このような有名企業の商品の購入経験率は60%~70%という結果が出ています。商品の購買対象となる生活者は日本国内で8,000万人くらいでしょうから、コミュニティに集まった100万人の購買頻度が多少変わったとしても「売上げ」に大きな影響はないはずです。したがって、「販売効果」という面では、コミュニティの規模が大きくなっても劇的な成果は得られないだろうと私は考えています。

では、コミュニティに集客は必要ないかというとそうではありません。例えば、目的のひとつが、アンケートなどによる顧客の声の収集であったとします。統計的に有効なアンケート結果を導き出すには、100人程度のサンプル数が必要と言われています(ここでは統計的有意とか、難しいところには触れないでおきますね)。

そうすると、回答者グループの一定規模を満たすには、アンケートに関心を持ってもらうための母集団の規模が必要になるわけです。私の経験から言えば、100人のアンケートを集めるには、その10倍くらいの母集団が必要です。コミュニティのアクティブ会員が10~30%とすると、3千~1万人の会員規模が望ましい、という試算ができますね。このように、自社のマーケティングで実施したい施策の目標とする集客(アンケートサンプル数100)の30~100倍くらいの規模は持っておくのが理想だと考えることができます。

どのようにコミュニティに集客すればいい?

では、コミュニティの集客はどのように行えばいいのでしょうか?コミュニティ立ち上げ前から会員組織を持っている企業であれば、その会員組織に案内を投げるのがいいと思います。

しかし、過去の販促キャンペーンの応募者やEC会員へ案内する際は、1点注意が必要です。受領した会員情報を当初の目的と異なる用途で利用する場合、別途許諾を得なければいけません。ECサイトなどを運営している企業は、このような関連施策への拡張を見据えて規約に記載しているケースがほとんどですが、コミュニティの施策として案内を出すときは必ず確認しましょう。

そうした既存の会員組織がないのであれば、最初のうちは多少のインセンティブや広告費の投下は必要だと思います。SNSの公式アカウントでコミュニティ内でのインセンティブキャンペーンの告知を行ったり、Web広告などでキャンペーン告知を行ったりします。

「それだと、規模を追いかけた過去のコミュニティと同じなのでは?」と疑問に思われたのではないでしょうか。確かに、その通りです。しかし、一定規模の会員数が集まらなければ、何事も好転することはありません。「序盤はやむなし」と割り切ることも必要です。ただし、その集客のためのキャンペーン施策には、「コミュニティらしさ」を熟慮した企画が望ましいと思います。自社の強みや、これまで培ってきた価値、相手の頭の中にあるイメージなどを吟味して、「ここでしかできない企画」を考えるといいでしょう。

私が前職で運営に携わったカゴメのコミュニティサイト「&KAGOME」の事例をお話します。「&KAGOME」への集客を目的としたわけではないのですが、トマト苗のプレゼントキャンペーンを行いました。当時はまだそこでしか手に入らないという希少性と、カゴメならではの価値を内包したプレゼントとして話題になり、結果的に集客に大きく貢献しました。

また、このキャンペーンは、当選したトマトの苗を「栽培する」という体験がセットになっていることで、キャンペーン終了後のコミュニティの盛り上げにも一役買いました。春先に苗が届き、それを栽培し、収穫し、調理するという一連のアクションを写真投稿できる場をつくり、会員間のコミュニケーションの機会を生み出せたのです。

トマト苗プレゼント企画が8年目を迎えた今年も、プレゼント内容をリニューアルして実施しています。

集客アクションから流入する「コンテンツ」が重要

集客アクションは、広告やSNSなど自社のメディアと距離の離れた場所が接点となることがあります。その企業や商品を想起してもらえないところにキャンペーンの情報だけを露出しても、インセンティブが目にとまるだけではないでしょうか。

「&KAGOME」では、キャンペーンを通じて“トマトの苗を栽培する”という新しい体験を提供し、ひとつの「コンテンツ」として価値発信を行いました。このように、集客アクションから流入する企業側のコンテンツには、その企業の強みがわかりやすく伝わるような内容が求められると思います。

「企業コミュニティQ&A」第5回まとめ

コミュニティが、運営企業のマーケティング目的を実現させるには、ある一定規模の会員数が必要です。その会員数の要件を満たすために、コミュニティの集客を行います。コミュニティを立ち上げてまもない時期には、インセンティブを伴うキャンペーンや広告出稿が欠かせません。しかし、これらの集客フックとなるアクションは、その企業が伝えたいことを熟慮し、“自社らしさ”を発揮した企画やコンテンツを露出することが望ましいです。
次回もお楽しみに。