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旅と必需品

20代のころはよく旅をしていた。バックパックで動きまわる旅が多く、極力荷物は減らしたい。それでも、必ず持参していたものがある。当時といまとでは、旅のスタイルがずいぶん変わってきてしまい、もはや必需品ではなくなったものもある。なので、20世紀の旅の必需品、ということで。

1.日本手ぬぐい

大学生が泊まるような低価格の宿には、タオルがないこともあった。そんなとき大活躍したのが日本手ぬぐい。当時髪の短かった私、なんとかバスタオルの代用品としてしのいだ。日本手ぬぐいは、とにかく乾きやすい。夜使って朝乾いているのはもちろん、朝、顔をあらって広げておけば出発までには、ぎりぎり乾く。少なくともびしょびしょではない。

そして、あの細長い形状。大学の卒業旅行で訪れたフィンランド、北極圏でオーロラを見ようと計画していたにも関わらず、うっかりマフラーを持参しなかった。そして、当たり前だがものすごく寒かった。そこで役立ったのが、日本手ぬぐいだ。顔が寒くてたまらず、ダウンジャケットのフードの下で、口のまわりにぐるぐる巻きにした。あのときほど日本手ぬぐいの実力を痛感したことはない。

当時の日記より

ちなみに、子育てシーンでも日本手ぬぐいはおおいに役立った。最近は記念品に日本てぬぐいを配る方が多いらしく、自宅に複数あったので、半分にカットしてガーゼのかわりにお風呂で使用したり(はさみでざくざくカットしてもあまりほつれないので驚いた)、外出時の食事のエプロン代わりにしたり。図柄がユニークだとまわりの人の笑顔を誘う。そしてなんせ、たたむとかさばらない、洗ってもすぐ乾く。これ重要!


2.ゴムのサンダル

ビーチサンダルのように薄いけれど、鼻緒ではなく、甲を幅広のゴムで固定するタイプのもの。オーストラリアのビーチ沿いで、海辺を散歩するために慌てて買ったのだが、これがものすごく良かった。私が泊まったような海外のホテルには、タオル同様スリッパもなかったので、スリッパ代わりにもした。鼻緒でないのがポイントで、靴下をはいたまま足を入れられる。

また、安宿の共同シャワールームはあまり清潔でないことがあるので、サンダルをはいたままシャワーを浴びることもできた。これも、左右のサンダルを重ねてもかさばらず軽いのがポイント。

そのサンダル

3.組み立て式小物入れ

絶対にないと困るものではないが、常に旅行用ポーチに入れている。1枚の厚手ビニールの四隅それぞれのボタンを留めると、箱状になる。腕時計や眼鏡、指輪などをちょっと置いておくのによい。旅先で何気なく使っていたら、夫に「これすごい便利だね」と言われて、そうか、これは便利だなと気づいた。学生時代に誰かから頂いてなんとなく使い始めて30年近く。革製などの高級品もあるようだが、ビニール製だと、洗面所にも気兼ねなく置けるので都合がよい。

組み立て前
組み立て後


たまに女性誌で「あなたの旅の必需品は?」という記事があると、じっくり読んでしまう。

必需品としてよく登場して、意外に思うのが、「アロマキャンドル」。ホテルの部屋を自宅と同じ香りにしたい、というのがその理由らしい。いつもこれを読むと、「ろうそくって結構重いしかさばるよなあ」と思ってしまう。反対に、そうそう、こういうのいつかほしい、と思うのは、ぺたんこにたためて小さくなるけどしわにならない軽いミニバッグ。宿泊ホテルでの朝食とか、なんなら夕食に持って行っても恥ずかしくないようなデザインがいい。良いものが見つかったら買おう、と常にアンテナを張っている。

旅先で使うものを買いに出掛けると、わくわくする。これまでの内容と思い切り矛盾するが、あってもなくてもよいようなものだと、気分が高揚する。非日常感が嬉しいのだろう。自宅では時間がなくてなかなかできないパックとかちょっと高い小分けの化粧品、ホテルの部屋で飲むおいしいコーヒーや紅茶。


こんどの旅に何を持っていくか?とあれこれ考えることから旅は始まってる。そんな細部にこそ、旅の本質があるのかもしれない。そして自分ならではの必需品が見つけられたら、それは旅の醍醐味だ。
(text,photo Noriko,  photo,Mihoko)©elia


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