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旧約聖書物語 18

神殿建設の再開。
ペルシャの王に仕え
絶大な信頼を得ていたエズラが
エルサレムに派遣される。
民の前で律法を読み上げ
乱れていた風紀を正すエズラ。
なおも建設が進まぬのを見かねて
アルタクセルクセス王の側近を務めていた
ネヘミあが自らがエルサレムで
指揮をとることを志願
エズラとともに民を団結させる。
そして
正しい道を歩んできたヨブに降りかかる
幾多の災い。
神を恨み神になぜかと問う
ヨブの不思議な物語。

谷口江里也 構成訳
ギュスターヴ・ドレ 画
©️Elia Taniguchi

目次
1 書記官エズラ (エズラ記4~7)
2 書記官エズラ その2 (エズラ記4~7)
3 エズラの派遣 (エズラ記7~10)
4 城壁を修復すべく派遣されるネヘミア (ネヘミア記)
5 モーセの律法の朗読 (ネヘミア記)
6 モーセの律法の朗読 その2 (ネヘミア記)
7 試されるヨブ (ヨブ記)
8 試されるヨブ その2 (ヨブ記)
9 嘆くヨブと三人の友との論争 (ヨブ記)
10 嘆くヨブと三人の友との論争 その2 (ヨブ記)
11 嘆くヨブと三人の友との論争 その3 (ヨブ記)
12 嘆くヨブと三人の友との論争 その4 (ヨブ記)
13 神に会うヨブ (ヨブ記)
14 神に会うヨブ その2 (ヨブ記)


1 書記官エズラ 

  (エズラ記4~7)

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ペルシャ王キュロスの治世に始められた
神殿の復興は、ユーフラテス河西域の
ユダヤ人の復権を恐れる諸勢力の
妨害によって中断を余儀なくされて以来
暗礁に乗り上げたままだった。
クセルクセス王の時代にも
その後アルタクセルクセス王の時代にも
エルサレム周辺の諸勢力は
王に訴状を送り一致団結して
エルサレムの神殿と
街の城壁の再建を阻止しようとした。
訴状にはユダ国とその都エルサレムが
かつてどれほどの力を持って諸国を制し
また多くの戦乱の
元となってきたかが述べられ
破壊された神殿と城壁が
一旦再建されてしまえば
それを契機にたちまち彼らは復権し
他を圧するばかりか、王に背き
年貢の支払いすら怠るであろう
と記されていた。
こうしてエルサレムの神殿建設は
久しく中断されていたが
ダレイオス王の時代に入って再び
ユダヤ人たちによって
完成に向けての工事が
自発的に再開された。
そして完成も間近に迫った頃
それを見たユーフラテス河西域の
巡視官が、誰の許可によって
工事を進めているのか、と咎めると
彼らは、記録を調べてもらえば
分かることだが、これはもともと
初代王キュロス直々の
命令に基づくものだ、と答えた。
巡視官は王に手紙を送って
事の真偽を問い、王が確かめさせると
確かにバビロンの記録保管所に
キュロス王の第1年
エルサレムの神殿再建の勅令発布
と記載されているのが発見された。
そこで王はあらためて
神殿再建の勅令を出し
第6年、遂に神殿が完成した。

神殿が再建されたのは、紀元前516年のこととされています。こうしてエルサレムは再びユダヤ人たちの本拠地となりました。ただ、たびたび神殿建設が妨害され中断されたことでもわかるように、エルサレムの周囲には、かつてユダ国と戦った民族も多く、またエルサレムの街もユダ国の崩壊後、出自や宗教の異なる多くの多くの人々が住んでいて、エルサレムに残ったユダヤ人の信仰心も薄れていたので、たとえ神殿が再建されても、それだけで急に、エルサレムを治めるまでにユダヤ人たちが結束し、力を持つようになるはずもありませんでした。


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