原野の館/デュ・モーリア
母が亡くなり、叔母の住むジャマイカ館に身を寄せることになったメアリー。だが、荒野のただ中に建つ館で見たのは、昔の面影もなく窶れ怯えた様子の叔母と、その夫だという荒くれ者の大男だった。寂れ果てた館の様子、夜に集まる不審な男たち、不気味な物音。ジャマイカ館で何が起きているのか?
『レベッカ』「鳥」で知られる名手デュ・モーリアが、故郷コーンウォールの荒野を舞台に描くサスペンスの名作
【相関図】
【感想】
100年ほど前の作品である。この頃の女性の生活というのはかなり制限されていたわけだが,主人公は結構活発なお嬢さん。母が死に,表紙のとおり原野にぽつんと立つ館に身を寄せた主人公。館主の叔父の怪しい行動に不審を抱きつつ。原野の荒涼感のように何が起こるか分からない暗さと,緊張,不安な感じがよい。ちょっと意外な結末だが,そうなるかと納得する人も結構多いだろう。自然の情景を書きながら心理を描く,やはり,デュ・モーリアの文章がいいのだろう。
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