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#003 宇宙開発のコストを下げて市場発展に貢献したい|ElevationSpaceの『宇宙、配信中。』

株式会社ElevationSpaceの、プレスリリースやイベントでは伝えきれないディープな情報を、宇宙ビジネスを取り巻くホットな話題とともに、社内の様々なメンバーと楽しくお届けするポッドキャスト番組です!

ElevationSpaceは、「宇宙環境利用・回収」という、数ある宇宙ベンチャーの中でも、特に珍しい事業に取り組んでいるスタートアップです。
第3回目のゲストはCOOの宮丸さん、インタビュアーは広報PRの武藤です。



ー 早速ですが、まずは自己紹介をお願いします。

宮丸
ElevationSpaceのCOOを務めております、宮丸和成と申します。
社内で担当していることは色々ありますが、COOとして業務全般…落ちてるボールをすべて拾うことですかね。笑

ー 「宇宙配信中」…お聞きいただいてますか?笑

宮丸
聞きました!
こういう感じでやるんだみたいなイメージが、わかりました。

ー よかったです。笑
今回はビジネス部門のトップでもある宮丸さんに、私たちが取り組む「宇宙環境利用・回収サービス」が、日本の宇宙産業にどういった影響を与えるサービスなのか、説明いただければと思います。


「実績が求められるのに、宇宙実証の場が少ない」

宮丸
色々ありますが、例えば衛星を作る時に、とにかく部品や物の価格が高い。
この状況をどうにかしないと、宇宙に参入すると言っても簡単にはできないでしょ、と思いました。

その背景として、宇宙参入を果たすためには実績が重要である一方、その宇宙実証の機会が極端に少ないというパラドクスがあります。これをどうにかしないといけない。

そこで、我々がそれを提供して、宇宙参入する企業が増えれば、宇宙機の部品やサービスの値段が相対的に下がってきて、また新たな宇宙機を作る企業が増えてくる。そうすると、だんだんマーケットができてきて、新規参入してくる人が増えてくる。
このサイクルを作り出すことが、我々のミッションの実現、ひいては我が国の宇宙産業の活性化につながると思っています。

ー CFOの河邊さんの回でも、「宇宙環境での実績を持っていただいてサプライヤーを増やしていかないとコストが下がらない」という話がありました。全社的に同じ問題意識を持っていると思います。

「宇宙開発のコストが高い」という課題は、あらゆる宇宙ベンチャーが直面している壁ですし、宇宙産業が大きく広がっていない一因でもあると思うので、ぜひこの部分を解決していきたいですよね。

宮丸
そうですね。我々が今感じている痛みは、我々が衛星を作っているメーカーだからこそ、如実に感じている痛みだと思います。自分たちが感じている痛みだからこそ、解決策が提示できるものだと思います。


オリオン宇宙船の大気圏再突入映像に大興奮

ー 私たちは大気圏再突入・回収という、世界中の民間企業が小型の宇宙機では実現できていない非常に難しい技術を獲得しようとしています。
昨年の暮れに、オリオン宇宙船の大気圏再突入時の映像がNASAから公開されまして、カズさん(宮丸)はじめエンジニアの皆さんが非常に盛り上がっていました。
これはやっぱり、見るとテンション上がるものですか。

宮丸
初めに見つけた時には、なんだこれはと、すごいものを見つけてしまったんじゃないか、もっと早く見つけるべきだったと感動しました。我々の中で大気圏再突入・回収を実際にやったことがあるのはCTOの藤田さんだけですが、その藤田さんでもこんな鮮明な画像は映像を初めて見たと。すごい映像です。

ー 社内のslackでは、「今飛んでったあれはなんだ」とか、「この音はなんだ」と、皆が盛り上がっていました。笑

宮丸
そうそう。「あれはガススラスターのオンオフする時の音だ!」とか、姿勢制御で映像の向きが動くので、こうやってるんだ~、みたいな。これは面白い。何回も見ました。笑

ー 我々の場合、見て楽しむだけじゃなく、あれをやらなきゃいけないわけですが、大きさ的には全然違いますかね?

宮丸
はい。オリオンは人が7人くらい乗れる設計だったと思うので、かなり大きいですけど、我々がやろうとしてるのはもっと小さいものです。ただ、形はほとんど一緒ですので、映像を見て、「これはすごいことやろうとしてるんだな」と、改めて実感しました。


防衛大学校→民間企業で25年→ElevationSpace

ー 宮丸さんはやや特殊なバックグラウンドをお持ちですので、そのあたりも掘り下げてまいります。

宮丸
元々宇宙とか飛行機が大好きな少年でした。
いちばん初めは、スペーシャトルSTS-1コロンビア号の打ち上げ、当時小学校1年くらいだったと思うんですけど、それをテレビで見て、得も言われぬ衝撃を受けて、「これをやるしかない」と思ったのを、今でもはっきり覚えてます。

その経験から、宇宙飛行士になりたいと思うようになったんですが、色々調べていくと、NASAとか米軍のパイロットから宇宙飛行士になっている人が多いことを知りました。ただ、目が悪かったので、パイロットはダメかもしれないと思い…。
ではどうしようと思った時に、物作りとか、物をいじるのは、当時から好きだったので、飛行機の勉強をしたいと思って、その結果が防衛大学校だったという経歴です。

ー 小学校1年生の時の衝撃を何十年も温めて、防衛大学校も経て、ElevationSpaceに入社されたということですね。

宮丸
防衛大学校を卒業してからは20年以上経ってますよね、年寄りです。(笑)
ですけど、この情熱をぶつけるには十分すぎるくらいの挑戦だ!と思ってElevationSpaceにジョインしました。

防衛大学校では航空宇宙工学を専攻しまして、その後、もしかしたら自衛隊に行って運用者になってたかもしれないし、技術関係にも行ったかもしれないんですけど。飛行機とか宇宙機設計について学んでいく中で、自分には向かないかもしれないなと思い、エンジニアにはならずに民間企業に就職しました。
でも、飛行機はずっと好きなので、ずっと飛行機と宇宙関係の話題は追いかけてたっていう感じです。

ー 夢がまさかこういう形で現実になるとは、とおっしゃってましたよね。

宮丸
そうです、全く想像だにしませんでした。
私は1998年に防衛大学校を卒業しましたけど、当時宇宙とか飛行機やろうと思ったら、JAXAとか重工メーカーに行くしかなかった。ですが、今周りを見渡してみると、宇宙スタートアップがいっぱいあって、こんな世界になってきたんだったら、自分もできるんじゃないかと思っていたところ、小林さんとの出会いがあり、今に至ります。

ー バリバリ25年会社員をやっていらっしゃったところから、防衛大学校というキャリアもあり、理系でもあり…。宇宙ベンチャーのCXOになるために生まれたような。

宮丸
そうなれるように今頑張ってるところです。たまに周りから、「夢が叶ってよかったね」と言われるんですけど、まだ夢は叶ってませんから!夢を現実にするのが自分の仕事です。

ー 2021年2月に創業から間もなく丸3年を迎え、まずは初号機を打ち上げて、大気圏再突入・回収技術などを実証するというところに取り組んでいます。
加えて、ビジネス面で言えば、この人工衛星を使って宇宙で実験、実証したいというお客様と繋がっていく、畑を耕している時だと思います。

宮丸
そうですね。十分に技術のシーズとしてはあるんですが、この技術のシーズをそのままお客様の前に出した時に、即座にそれが売り上げに繋がるわけではないんですよね。
そこにはお客様ごとのニーズがあって、ニーズとシーズをどう組み合わせるかというところに、ビジネス面での面白みであったり、チャレンジがあります。もちろん苦しみもあるんですが、それを乗り越えたところに喜びもあると思うので、世界にまだあまりないサービスをやろうとしていることに対して、ものすごくワクワクしています。

3/15(金)に宮城県で開催する「宇宙ビジネス参入セミナー」は、COO・宮丸が登壇します!▼


にわかに注目される「宇宙×安全保障」の重要性

ー 宇宙安保構想の策定など、ここ最近、宇宙産業が安全保障の関わりが大きくクローズアップされています。
この点について、防衛大学校卒という背景を持ちながら、宇宙ベンチャーで今CXOをしているカズさんとして、どのように感じますか。

宮丸
皆さんもご存知のとおり、安全保障というと、長らく「陸海空」が中心でした。しかしこれが最近になって、陸海空を横串に刺すドメインというものが出てきました。それが、宇宙、サイバー、電磁波の分野です。
戦後、空軍というものが新しい脅威に対して生まれたように、「宇宙」というのも、今新しく出てきているドメインです。

日本の置かれている状況や地政学的な事情を踏まえ、日本として宇宙安保構想というものを初めて策定して、それをきちんと使って、より実効的なものにしていかなければならない、という。
その端緒が、2022年の年末から、2023年にかけての動きだったと思います。
なので、今年、構想を踏まえてどのように動いていくかは、我々も非常に重要なところになると思っています。

ー 「宇宙」が新しい脅威に対応して安全保障的な側面で役割を果たす必要が出てきていて、様々な宇宙ベンチャーの持っている技術を役立てていく必要があるということですね。 宮丸さん、ありがとうございました。



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それではまた次回の「ElevationSpaceの、『宇宙、配信中。』」でお会いしましょう!

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