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27 深く呼吸ができるか

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仕事柄、大学にはよく行きますけれど、キャンパスに一歩 踏み入れた時に、ああ、ここは気持ちがいいなあ、深く呼吸ができるなあ、肩の詰まりが取れるなあとか、そういう印象を与えてくれるようなキャンパスはいまでは ほんとうに稀有になりました。

「深く呼吸ができる」という言葉が、僕の中に飛び込んできてしまった。
なんかおもしろいなー、と単純に思ったのと同時に、5年前はじめて武田信子さんにお会いときのことを思い出していました。
終業式と送別会を終え、翌日早朝に400kmの道のりを車で走り、飛行機で東京へ行く。武田さんとは光ヶ丘プレーパークで待ち合わせをして、そこでお店ごっこをして楽しでいる子どもたちを見てきたのだ。そのとき、僕が「でも、テスト学力がなかなかつかなくて・・・」と言うと、武田さんに「もっと大事なことは、居心地が良いかどうかなんだって」と笑顔で言われたことを、「深く呼吸ができる」の言葉が思い出させてくれた。

最近、次年度に向けてどうしていこうか、あれこれ職場で話し始めている。学力向上策もその一つである。けれど、僕はどこか物足りなさを感じている。本当はこんな話題も学力向上策の一つとして同僚や子どもたちと一緒に考えていきたいんだよな、きっと。
・授業をするかどうかの前に、子どもたちが教師を見つめる時に、どれくらい身体がリラックスして、心が開いて、学びに向けての準備が整っているか。
・そうなるように、どれほど僕らは配慮しているか。
・学びの場そのものを整えて、子どもたちを知性的、感性的に「開かれた」状態にすることをどれくらい真剣に考えているか。

家庭学習の時間を増やすためにはどうすれば・・・は真剣に考えるのに、「深く呼吸ができる」かを僕らはこのまま考えないでいいのだろうか。そういう気持ちが僕にまとわりついている。
「深く呼吸ができる」ってなんかいいな、と思う。職員室で僕らは「深く呼吸ができる」のだろうか。職員室で雑談している先生たちを横目に、「僕らは雑談する暇すらないよ」と羨ましく思っている人もいる。子どもも僕らも相似型をなしているのだから、僕らが「深く呼吸できる」場づくりを、みんなと一緒に考えてみたい。きっと最終的には子どもたちにつながっていくのだから。