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月を目指して最終章―― 「ウェルカム・トゥ・ザ・ムーン」レビュー

 どうもエレメントクリエイターズのNewonです。

 「Welcome to」シリーズの完結からしばらく経ちましたが、今回は3作目である「ウェルカム・トゥ・ザ・ムーン」のレビューをしていきたいと思います。
 決して余韻に浸ってたというわけではないんですよ。
 とにかくボリュームが多くて、レビューまでにかなり遊んできたんです……

コンポーネント

 今回はなんと小箱が入ってます。

 今までのシリーズではカードの仕舞い方を少し苦労していて(特に拡張)、計6つの小箱によりカードなどのコンポーネント類がきれいに収まります。
 もちろん、カードがスリーブ付きでも入る安心設計!

 また、大きな変更点として紙ペンはホワイトボードマーカー式に変更されています。

 何回も遊べるのはいいですが、この変更に伴ってプレイ人数が8人までに減ったには痛いですね。
(前作までのプレイ人数1~50人の表記が結構好きだったのですが)

ルール

 「ウェルカム・トゥ」シリーズの基本ルールは踏襲しつつ、今回は固有ルールがそれぞれことなる8つの冒険があります。
 それぞれの冒険について詳しく解説していくのでどうぞ!

#1 打ち上げ

 「小惑星が降り注ぎ、住めなくなった地球から脱出する」という導入から、いきなりなポストアポカリプス感が出ている……
 急いで脱出するというコンセプトどおり、この冒険ではスピード感あふれるゲームとなっています。

 基本ルールは踏襲しつつと言いましたが、なんと今回に限ってはアクション効果がありません!
 アクションのアイコンは、効果ではなく書き込む段を指定します。
 シートには9段ありますが、それぞれ対応するアイコンでしか書き込めません。

 いきなり前作までのプレイ感をぶち壊しにしてくる感じ、たまりませんね!

 この冒険の勝利条件は点数ではなく、先に150点分のロケットアイコンを獲得したプレイヤーです。
 区画の完成やミッションカード(1作目での都市計画にあたる)の達成でロケットアイコンをもらえるが、もちろん相手への妨害効果もある。
(急いで脱出するときにも足の引っ張り合いをする人の醜さ……)

#2 航路

 大気圏を離脱した人類はタイトルどおり月を目指します。
 もちろん旅は一方向、そして数字を書き込めるのは1段だけ!?

 この冒険では、なんと数字を書き込むマスが36マス続いています。
 もちろん「ウェルカム・トゥ」では1~15までの数字しかないのですべて書き込めないはず……
 そこでエネルギーアクションを2回使うと区切ることができます。
 区切った左右は別の段として扱われ、ようやく自由に数字を書き込むことができます。
 1作目をプレイしたことある人では、中級ルールの「ラウンドアバウト」に似たシステムといえば通じるでしょうか。

 上記のシステムによって1段を何マス分取るかの自由が生まれますが、またそこが悩ましく、この冒険は特に序盤から人と違う盤面になりやすいです。

#3 コロニー

 人間住む場所が一番大事ですよね!
 ということで、月に無事到着した人類はコロニーを建設を始めます。

 基本ルールである「数字は左から右にかけて昇順」というものに、「下から上にかけて」も追加されます。
(数字の並びがラッキーナンバーみたいですね)

 一番左下のマスからパラボラアンテナが書かれているマスまでロボットアクションでつなげることでの得点方法は、2作目でのリムジンを彷彿とさせます。
 リムジンと同じく、得点の獲得が難しいけど倍率は大きいので狙いたい……(そして届かないこと幾たび)

 他、上下左右で分割した4つそれぞれの区画を一番最初に完成した人にはボーナスがもらえたり。

 前2つの冒険がトリッキーなだけに、普通と思いますが、昇順ルールの更新でかなりプレイ感が変わってきます。

#4 鉱山

 みんな大好き工場ですよ!
 月の資源を掘り起こして、工場を稼働させよう。

 数字を書き込むと周囲の資源を掘削できるが、そのままでは抽出できず得点につながりません。
 今回はなんと縦列(3マス)を完成することでようやく抽出することができます。

 盤面からは想像しづらいですが、倍率の得点や、その倍率を改善するところがとても1作目に近いです。
 また、計画アクション(1作目の増築アクションにあたる)はなんと改善することによって失点を打ち消せる

#5 ドーム

 ここから、ようやく「ウェルカム・トゥ」らしく建築になります。

 家の建築に、いきなり空中から建て始める人なんていませんよね。
 そんな常識を教えてくれる5つ目の冒険は、4つあるビルのそれぞれ地上1階、または地下1階から順番にしか数字を埋められません
 よく「ウェルカム・トゥ」で初心者がやりがちなミスのようルールがここにきて登場です。
 それぞれのビルは地上階と地下階の大きさが違うため、ある程度は数字をばらばらに書き込めますが、それでも真ん中あたりの数字からしか始められない制約はかなりキツいです。

 また、ビルの建設とともにドームの完成も目指さなければいけませんが、計画アクションを使ってビルの完成を急ぐと、ドームの建設が遅れるという悪魔の仕様。
 具体的には計画アクション一回につき、ドームの建設に必要なロボットアクションが一回増えます。

#6 ウイルス

 まさか「ウェルカム・トゥ」で「パンデミック」をする日が来るとは思いませんでした……
 というかコロニー内でパンデミック発生とはだいぶ絶望的状況では。

 ウイルスが拡散すると、まずその区画内を1マス書き込めなくします。
 同じ区画内で書き込めるマスがない場合、隣接するすべての区画に感染が拡大します。(わお、アウトブレイク!)
 感染拡大を防ぐためにはロボットアクションで区画同士の通路を封鎖しなければいけません。
 ワクチン?
 そんなものはないので封じ込みをしましょう。(無慈悲)

 区画に数字を書き込めたマス数が直接の点数に結びつくため、ウィルスの拡散を放置しすぎると恐ろしいほど点数が低迷します。
 前の冒険に続いて、「ウェルカム・トゥ」が本気出してきたって感じの難易度ですね。

#7 脱出

 地球を追われた人類は、月をも追われることとなります。
 新天地を目指してらしいですが、緊急事態のため状況はなかなか上手くいかない模様……

 最初はなんと1番下の段しか数字を書き込むことができません。(正確には地上と接続した部分ですが)
 ロボットアクションを使うことによって、左右上下の区画に数字を書き込むことができる場所が増えます。

 もちろん上層にいくほど得点効率が良くなりますが、アクションを使ってま上層を目指すべきなのかが悩ましく、全体を通してアクション数が圧倒的に足りないです。

#8 戦い

 だいたい「ス〇ー・ウォーズ」
 怒られるのでちゃんと説明すると、居住可能な惑星が発見されたがそこをめぐって人類同士の戦いが発生したというもの。
 1つ目の冒険から不穏でしたが、やっぱり人類に救いはないんですね……

 今回はシートから特別で、2人でシートを共有して使います。
 最終的には総合得点を全員で競いますが、直接的な対戦相手は両隣です。
 というのも、両隣とエリアマジョリティをし、それが得点に反映されます。

 紙ペンゲームでシートを共有することも、エリアマジョリティも新鮮ですよね。
 この超大編を締めくくるにふさわしいゲーム性ですが、「ウェルカム・トゥ」シリーズの引き出しの多さには脱帽ものです。

ASTROソロモード

 前2作と同じく、今作にもしっかりとソロモードが搭載されています。
 全8種類の難易度である仮想敵、ASTROと対戦します。

 プレイヤーは3枚のうち、1枚を数字として、1枚をアイコンとして、残った1枚はASTROに渡します。
 ASTROに渡した1枚はASTRO自身の対応する倍率の得点となります。
 ルールやプレイ感などはそのまんま1作目のAAA建築家ですね。

キャンペンーンモード

 キャンペーンはなんと187章あり、キャンペーン用のカードは97枚となっています。

 プレイヤーたちの選択によって物語は分岐し、2度と同じ展開にならないほどの複雑さとなっています。
 また、途中参加にも優しく、途中からでもキャンペーンを再開できるという強みも。

 本当はキャンペーンについて語りたいことがたくさんありますが、ネタバレになってしますのでここまで。
 ボリュームから分かるとおり飽きさせないという、いつまでもキャンペーンシナリオを楽しめますね。

まとめ

 「ウェルカム・トゥ」完結の報に寂しさを感じていた時期もありました。
 このレビューを書くにあたってかなり遊びましたが、それでも到底遊びきれたとは思えません。(寂しさなんかどっか行っちまったぜ)

 「ウェルカム・トゥ」好きなら絶対に何回も遊んでしまうはず。
 ボードゲームに感動したという言葉があうか分からないので私から一言。

 買ってくれ!!!

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