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Monsieur Foujita

藤田嗣治画伯がジョホールバルへお越しになったのは、第二次世界大戦中のこと。来星はシンガポールが占領されてから約半月後だったとのことですから、少なくとも1942年2月末以降ということになります。

献上画の製作のために、画伯をお連れしたのは井伏鱒二。「シンガポールで見た藤田嗣治(芸術新潮:昭和43年12月)」によれば、腹ばいになって銃を構える兵士のスケッチが目的だったそうです。モデルに選ばれた若い兵士の緊張ぶりや、画伯がモデルを優しく労わる様子がよくわかります。

画伯のシンガポールを題材とした作品には「最後の日」「二月十一日」「ブキテマの野戦」等があり、軍事郵便はがきになっている作品もありますが、戦意高揚とはほど遠い印象、悲しくなってしまうような暗い絵です。




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