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平成22年度 理論科目 問3 電験3種過去問


問題

出典:平成22年度第三種電気主任技術者理論科目A問題問3

考え方

この問題は、電磁誘導に関する問題である。
巻数$${n}$$のコイルに貫く磁束$${\Phi}$$が微小時間$${\Delta t}$$で$${\Delta \Phi}$$増加したとすると、

$$
e = n\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\tag{1}
$$

の大きさの誘導起電力が発生する。
問題文のように導体を動かす場合は、巻数$${n=1}$$で、回路を貫く磁束が変化している。
磁束$${\Phi}$$は、磁束密度$${B}$$と回路の面積$${S}$$を用いると、

$$
\Phi = BS\tag{2}
$$

で求めることができる。
磁束密度は、問題文より一様であるため、変化しない。
導体を速さ$${v}$$で、動かした場合、$${\Delta t}$$における回路面積の増加は、図1に示す青色の増加となる。

図1 微小時間における回路面積の増加

数式でみると、

$$
\Delta S  = l v\Delta t \tag{3}
$$

$${l}$$:導体棒の長さ
となる。
よって、磁束は式(2)より、

$$
\begin{align}
\Delta \Phi &= B\Delta S\notag\\
&= B l v\Delta t\tag{4}
\end{align}
$$

と求められる。
よって、回路に誘導される起電力は、式(1)より、

$$
\begin{align}
e &= \frac{B l v\Delta t}{\Delta t}\notag\\
&= Blv\tag{5}
\end{align}
$$

となる。
また起電力の方向は、フレミングの右手の法則から求めることができる。

解答例

式(5)より、回路に誘導される起電力$${e}$$は、

$$
e = 6\times 10^{-2}\times 0.6\times 4=0.144\,{\rm{V}}\tag{6}
$$

と求まる。
起電力の方向は、フレミングの右手の法則より図2のように下向きに発生する。

図2 起電力の方向

よって、電流$${I}$$の正の向きと起電力の向きは同じである。
したがって、電流$${I}$$は、

$$
\begin{align}
&\notag\\
I&=\frac{0.144}{10}=0.0144\,{\rm{A}}\tag{7}
\end{align}
$$

と求まる。よって、答えは(4)である。

サイト

https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

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