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平成22年度 理論科目 問17 電験3種過去問


問題

出典:平成22年度第三種電気主任技術者理論科目B問題問17

考え方

(a)は、ベクトルを書いて各ベクトルの大きさを求める。
(b)は、問題文を理解することが大事である。問題文が分かりにくいので、状況が掴みにくい人もいるであろうと思われる。

解答例

(a)
点Cおよび点Dに正の点電荷を置いた時に働く力のベクトルは図1のようになる。

図1 力のベクトル

点Cに置いた時のベクトルを抜き出すと、図2のようになる。

図2 点Cに置いた時のベクトル

図2において、ベクトル$${\dot{F}_{\rm{C}}}$$は半分の長さであることに注意する。
ベクトル$${\dot{F}_{\rm{CA}}}$$とベクトル$${\dot{F}_{\rm{CB}}}$$の間の角度は、点A、B、Cが正三角形を作っているため、$${120\degree}$$となる。
ベクトル$${\dot{F}_{\rm{CA}}}$$とベクトル$${\dot{F}_{\rm{CB}}}$$は、向きは異なるが、点電荷同士の距離や大きさは等しいので、力の大きさも等しくなる。よって、図2は二等辺三角形となっている。
図2の$${\theta}$$は、ベクトル$${\dot{F}_{\rm{C}}}$$が底辺と垂直に交わっていることから、垂直2等分線となるため、$${60\degree}$$となる。
図2の左半分を抜き出すと、図3のようになる。

図3 左側のみ

角度の関係から、辺の比率は図3に示したようになる。
よって、ベクトル$${\dot{F}_{\rm{C}}}$$の大きさ$${F_{\rm{C}}}$$は、図3の2倍になることに注意すれば、

$$
F_{\rm{C}} = 2\times \frac{F_{\rm{CB}}}{2}=F_{\rm{CB}}\quad [{\rm{N}}]\tag{1}
$$

となる。
$${F_{\rm{CB}}}$$はクーロンの法則より、

$$
\begin{align}
F_{\rm{CB}}&=9\times 10^{9}\times \frac{4\times 10^{-9}\times q_{0}}{6^{2}}\notag\\
&=  q_{0} \quad [{\rm{N}}]\tag{2}
\end{align}
$$

となる。よって、ベクトル$${\dot{F}_{\rm{C}}}$$の大きさ$${F_{\rm{C}}}$$は式(1)より、

$$
F_{\rm{C}} =F_{\rm{CB}}= q_{0} \quad [{\rm{N}}]\tag{3}
$$

と求まる。

次に、点Dに置いたときのベクトル$${\dot{F}_{\rm{D}}}$$は、図1からわかるように、ベクトル$${\dot{F}_{\rm{DA}}}$$とベクトル$${\dot{F}_{\rm{DB}}}$$の足し算となる。ベクトル$${\dot{F}_{\rm{DA}}}$$とベクトル$${\dot{F}_{\rm{DB}}}$$の大きさは等しいので、大きさ$${F_{\rm{D}}}$$は、

$$
F_{\rm{D}}=2F_{\rm{DB}}\quad [{\rm{N}}]\tag{4}
$$

となる。
$${F_{\rm{DB}}}$$はクーロンの法則より、

$$
\begin{align}
F_{\rm{CB}}&=9\times 10^{9}\times \frac{4\times 10^{-9}\times q_{0}}{3^{2}}\notag\\
&=  4q_{0} \quad [{\rm{N}}]\tag{5}
\end{align}
$$

と求まる。よって、ベクトル$${\dot{F}_{\rm{D}}}$$の大きさ$${F_{\rm{D}}}$$は式(4)より、

$$
F_{\rm{D}} =2F_{\rm{DB}}= 2\times 4q_{0} = 8q_{0}\quad [{\rm{N}}]\tag{6}
$$

と求まる。
力の大きさの比$${\frac{F_{\rm{C}}}{F_{\rm{D}}}}$$は、

$$
\frac{F_{\rm{C}}}{F_{\rm{D}}}=\frac{q_{0}}{8q_{0}}=\frac{1}{8}\tag{7}
$$

となる。よって、(a)の答えは(1)である。

(b)
問題文の条件を整理すると、図4のようになる。

図4 条件を整理した図

図4において、電界を加えたことによる力$${\dot{F}_{\rm{E}}}$$の大きさ$${F_{\rm{E}}}$$は、静電力と電場の関係から

$$
F_{\rm{E}}=q_{0}E=0.5q_{0}\quad [{\rm{N}}]\tag{8}
$$

と求まる。よって、正の点電荷$${q_{0}}$$は、式(3)と図4の関係から、

$$
\begin{align}
F_{\rm{C}}- F_{\rm{E}}&=2\times 10^{-9}\notag\\
q_{0}-0.5q_{0}&=2\times 10^{-9}\notag\\
q_{0}&=4\times 10^{-9}\quad [{\rm{C}}]\tag{9}\\
\end{align}
$$

と求まる。
よって、(b)の答えは(3)である。

サイト

https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0


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