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平成29年度 機械科目 問3 電験3種過去問


問題

出典:平成29年度第三種電気主任技術者機械科目A問題問3

考え方

この問題は、誘導機に関する問題である。
誘導機はすべりがあるため、すべりによる特性を理解する必要がある。

解答例

(ア)
誘導機のトルク$${T}$$は、

$$
T = \frac{P_{m}}{\omega}\tag{1}
$$

$${P_{m}}$$:機械的出力、$${\omega}$$:角速度
で求まる。
二次入力と機械的出力の関係はすべりを用いて、

$$
P_{2}:P_{m} = 1: (1-s)\tag{2}
$$

となる。また、角速度も同期角速度にすると、

$$
\omega=(1-s)\omega_{0}\tag{3}
$$

となるので、式(1)は、

$$
T = \frac{(1-s)P_{2}}{(1-s)\omega_{0}}=\frac{P_{2}}{\omega_{0}}\tag{4}
$$

となる。ここで同期角速度は、回転磁界の角速度であるため、周波数を変化させない限り変わらない。よって、二次入力はトルク$${T}$$に比例し、トルクの指標にすることができる。これを同期ワットという。

(イ)
機械的出力と二次銅損は、すべりを用いて、

$$
P_{m}:P_{c2} = (1-s):s\tag{5}
$$

の関係がある。

(ウ)
式(5)において、$${s = -1}$$から$${s=0}$$の間を考える。
式(5)を変形すると、

$$
\begin{align}
P_{m} &=\frac{1-s}{s}P_{c2}\tag{6}\\
\end{align}
$$

となる。$${s}$$が$${-1}$$から、$${0}$$の間の値をとるとき、分子は必ず正になるが、分母が負となるので、全体として、負の値になる。
よって、二次銅損が常に正なので、機械的出力は必ず負となる。

(エ)
機械的出力が負ということは、エネルギーが通常の電動機と逆の流れになるので、発電機となることを意味する。

まとめると答えは(1)になる。

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等価回路でみる三相誘導電動機
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サイト

https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

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