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平成30年度 理論科目 問1 電験3種過去問


問題

出典:平成30年度第三種電気主任技術者理論科目A問題問1

考え方

この問題は、式が与えられているため、式展開をしていけば解ける問題である。
静電力はクーロンの法則から求まる。式展開は、問題文の式と比較しながら行なっていく必要がある。

解答例

(ア)
導体球に与えられた電荷は、どちらも正の電荷である。したがって、反発力が働く。

(イ)
静電力はクーロンの法則から求まる。

$$
\begin{align}
F &= \frac{1}{4\pi \varepsilon_{0}}\frac{Q\times 3Q}{d^{2}}\notag\\
&= \frac{1}{4\pi \varepsilon_{0}}\frac{3Q^{2}}{d^{2}}\tag{1}
\end{align}
$$

(ウ)
問題文で式を与えられているので、代入して解いていく。
まず、三平方の定理から導かれた式の両辺を$${T^{2}}$$で割ると、

$$
\begin{align}
F^{2}+(mg)^{2}&=T^{2}\notag\\
\left(\frac{F}{T}\right)^{2} + \left(\frac{mg}{T}\right)^{2} +&=1\tag{2}\\
\end{align}
$$

となるので、$${\frac{F}{T}=\frac{d}{2l}}$$を代入すると、

$$
\begin{align}
\left(\frac{d}{2l}\right)^{2} +\left(\frac{mg}{\frac{2lF}{d}}\right)^{2} &= 1\notag\\
\left(\frac{mgd}{2lF}\right)^{2} &= 1-\left(\frac{d}{2l}\right)^{2} \notag\\
\frac{mgd}{2lF} &= \sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^{2}} \tag{3}\\
\end{align}
$$

となる。ここで、静電力は(イ)で求めているので、式(1)を式(3)に代入すると、

$$
\begin{align}
\frac{mgd}{2lF} &= \sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^{2}} \notag\\
\frac{mgd}{2l\left(\frac{1}{4\pi \varepsilon_{0}}\frac{3Q^{2}}{d^{2}}\right)} &= \sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^{2}} \notag\\
\frac{4\pi \varepsilon_{0}\,mg}{3Q^{2}}\frac{d^{3}}{2l} &=  \sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^{2}} \tag{4}\\
\end{align}
$$

となる。ここで、選択肢の形に揃えていく必要がある。
問題文中の左辺は、$${\left(\frac{d}{2l}\right)^3}$$があり、選択肢の中には、$${l^{2}}$$がある。選択肢の中の$${l^{2}}$$は、$${(2l)^{2}}$$と考えた方が良い。なぜならば、問題文の中で$${(2l)}$$として扱われているためである。
よって、左辺に$${\left(\frac{2l}{2l}\right)^{2}}$$をかけると、

$$
\begin{align}
\frac{4\pi \varepsilon_{0}\,mg\times (2l)^{2}}{3Q^{2}}\left(\frac{d}{2l}\right)^{3} &=  \sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^{2}} \notag\\
\frac{16\pi \varepsilon_{0}\,l^{2}mg}{3Q^{2}}\left(\frac{d}{2l}\right)^{3} &=  \sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^{2}} \tag{5}\\
\end{align}
$$

となる。
よって、係数$${k}$$は、

$$
\begin{align}
&\notag\\
k &= \frac{16\pi \varepsilon_{0}\,l^{2}mg}{3Q^{2}}\tag{6}\\
\end{align}
$$

と求まる。

(エ)
導体球の表面の電位$${V}$$は、導体球の中心からの距離を$${r}$$とすると、

$$
V = \frac{1}{4\pi \varepsilon_{0}}\frac{Q}{r}\tag{7}
$$

で求まる。導体球AおよびBは、問題文で同じ大きさとなっているので、式(7)の$${r}$$は、等しい。よって、同電位になるには、電荷量が同じでないといけない。電荷の総量は$${Q+3Q=4Q}$$なので、各導体球の電荷量は$${2Q}$$となる。
式(6)において、分母は、$${2Q\times 2Q=4Q^{2}}$$となるため、係数が小さくなる。式(5)は釣り合いの式なので、係数が小さくなった時、糸の長さは変化できないため、$${d}$$は増加する必要がある。

よって、答えは(1)となる。

サイト

https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

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