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平成25年度 理論科目 問1 電験3種過去問


問題

出典:平成25年度第三種電気主任技術者理論科目A問題問1

考え方

この問題は、平行平板コンデンサに関する問題である。平行平板コンデンサでよく用いられる式は、

$$
\begin{align}
Q &=CV\tag{1}\\
C &= \varepsilon \frac{S}{d}\tag{2}\\
E &= \frac{V}{d}\tag{3}
\end{align}
$$

$${Q}$$:コンデンサの電荷、$${C}$$:静電容量、$${E}$$:電極板間の電界の強さ、
$${V}$$:電極板間の電圧、$${\varepsilon}$$:電極板間の誘電率、
$${S}$$:電極板面積、$${d}$$:電極板間距離
である。
この問題では、$${V}$$は一定である。

コンデンサの端効果とは、図1に示すようにコンデンサの極板の端側で電界が乱れる現象のことを言う。つまり、端効果を無視するということは、図2のように電界が極板全体で均等な状態であることを意味する。

図1 コンデンサの端効果あり
図2 コンデンサの端効果なし

解答例

a.
電界の分布は、電極板の電荷分布に依存する。電荷の分布は一様であると考えるのが普通である。そのため、電界の分布も一様になる。問題文で端効果は無視しているので、電界の分布は図2のようになる。電界の強さは式(3)より、$${V}$$が一定なので、$${d}$$に依存するが、平行平板コンデンサなので、$${d}$$はどこでも同じはずである。したがって、図2の矢印の長さはすべて同じになる。この問題では、前提条件がかなり不足している気もする。
電荷分布が一様であるすれば、電界の分布は図2の矢印の長さがどうなるかによる。したがって、$${d}$$に依存するということができる。
よって、aは誤り。

b.
電位は、電荷が電界に逆らって運動した時のポテンシャルである。したがって、電位の分布は、電界の分布に依存する。
よって、bは誤り。

c.
問題文において、$${S,\, d}$$は変化させていないため、一定とすると、静電容量は式(2)より、比誘電率$${\varepsilon_{r}}$$に依存する。よって、cは正しい。

d.
静電エネルギー$${W}$$は、

$$
W  = \frac{1}{2}CV^{2}\tag{4}
$$

で求まる。問題文より$${V}$$は一定なので、静電エネルギーは$${C}$$に依存する。そして、$${C}$$は、cの結果から$${\varepsilon_{r}}$$に依存する。よって、dは正しい。

e.
式(1)より、$${V}$$一定の条件下であれば、$${Q}$$は、$${C}$$に依存する。cの結果から$${\varepsilon_{r}}$$に依存する。よって、eは正しい。

まとめると、誤りなのは、aとbであるので、答えは(1)となる。

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https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

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