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平成25年度 機械科目 問1 電験3種過去問


問題

出典:平成25年度第三種電気主任技術者機械科目A問題問1

考え方

この問題は、等価回路を理解していれば、暗記しなくてもよくなる。
電験三種の取得だけを目指すのであれば、暗記しても良いが、電験二種や一種を目指したり、実務に役立てていきたいのであれば、等価回路を理解することをおすすめする。
関連記事の等価回路でみる直流電動機を見ながら解答例を見てほしい。

解答例

関連記事の等価回路でみる直流電動機で見たように、分巻電動機の回転速度$${N}$$は、

$$
N = \frac{V -R_{a}I_{a}}{K_{g} \Phi}\tag{1}
$$

$${V}$$:端子電圧、$${I_{a}}$$:電機子電流、$${R_{a}}$$:電機子抵抗、
$${K_{g}}$$:比例係数、$${\Phi}$$:1極あたりの磁束
で表すことができる。
式(1)より、機械的負荷が増加して、電機子電流が増加すると、回転速度は電機子電流に比例して低下する。端子電圧が一定なので界磁電流も一定である。そのため、磁束$${\Phi}$$が一定となるためである。
電機子抵抗は通常は小さい値なので、回転速度はわずかな減少となる。
また、式(1)より分巻電動機の回転速度を変化させるには、磁束$${\Phi}$$を変化させても良い。磁束を変化させるには、界磁電流を変化させる必要がある。界磁電流を変化させるには、界磁抵抗器で界磁抵抗の大きさを変化させる。
よって、選択肢の(1)と(2)は、正しい。

関連記事の等価回路でみる直流電動機で見たように、直巻電動機のトルク$${T}$$は、

$$
T = K_{T}\Phi I_{a} \propto I_{f}I_{a} \propto I^{2} \tag{2}
$$

$${K_{T}}$$:比例係数、$${I}$$:負荷電流、$${I_{f}}$$:界磁電流
となり、未飽和領域では、負荷電流の2乗に比例する。
よって、選択肢の(3)は誤りである。

直巻電動機の回転速度は、

$$
N = \frac{V}{K I} - \frac{R_{a}+R_{f}}{K} \tag{3}
$$

$${K}$$:比例係数、$${R_{f}}$$:界磁抵抗
で求まる。
式(3)から、直巻の回転速度は、負荷電流により大きく変化する。特に負荷電流が小さいと回転速度が大きくなる。
回転速度が小さいときは、端子電圧が一定なので、逆に負荷電流が大きくならないといけない。負荷電流が大きくなるということは、式(2)からトルクも大きくなる。したがって、始動トルクが大きくなる。

選択肢の(5)は、複巻電動機の説明である。それぞれ、構造の基本を説明しているだけである。

まとめると、答えは(3)になる。

関連記事

等価回路でみる直流電動機
https://note.com/elemag/n/n28872c3b3273?sub_rt=share_pw

サイト

https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

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