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令和5年度上期 理論科目 問5 電験3種過去問


問題

出典:令和5年度上期第三種電気主任技術者理論科目A問題問5

考え方

この問題は、両側に電源があるため、重ね合わせの理を用いて解いていく。
重ね合わせを考える時には、電流の向きに注意する。

解答例

$${60\,{\rm{V}}}$$の電源のみを考慮した回路は、図1のようになる。

図1 60Vの電源のみを考慮した回路

図1において、$${10\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗に流れる電流$${I_{1}}$$を求める。
$${60\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗は、並列接続なので合成すると、$${\frac{1}{2}}$$倍になる。よって、図2のようになる。

図2 60Ωの抵抗を合成した回路図

図2において、$${10\,{\rm{Ω}}}$$と$${30\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗を足すと$${40\,{\rm{Ω}}}$$であり、この抵抗が$${40\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗と並列接続なので、$${\frac{1}{2}}$$倍となり、図3のようになる。

図3 40Ωの抵抗を合成した回路図

よって、全電流$${I}$$は、

$$
I=\frac{60}{40+20} = 1\,{\rm{A}}\tag{1}
$$

となる。電流$${I_{1}}$$は、

$$
I_{1} = \frac{40}{40+40}\times 1 = 0.5\,{\rm{A}}\tag{2}
$$

と求まる。
次に$${80\,{\rm{V}}}$$の電源のみを考慮した回路は図4となる。

図4 80Vの電源のみを考慮した回路

図4において、$${10\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗に流れる電流$${I_{2}}$$を求める。
$${40\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗は、並列接続なので合成すると、$${\frac{1}{2}}$$倍になる。よって、図5のようになる。

図5 40Ωの抵抗を合成した回路図

図5は、$${30\,{\rm{Ω}}}$$と$${60\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗が並列接続なので、合成すると、

$$
\frac{30\times 60}{30+60} = 20\,{\rm{Ω}}\tag{3}
$$

と求まる。よって、図6のようになる。

図6 30Ωと60Ωの抵抗を合成した回路図

図6より全電流$${I}$$は、

$$
I= \frac{80}{20+60}= 1\,{\rm{A}}\tag{4}
$$

となるので、$${10\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗に流れる電流$${I_{2}}$$は、

$$
I_{2} = \frac{60}{30+60}\times 1 = 0.667\,{\rm{A}}\tag{5}
$$

となる。
電流$${I_{1}}$$と$${I_{2}}$$は、逆向きなので、$${10\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗に流れる電流の大きさ$${I_{10}}$$は、

$$
\begin{align}
I_{10}&=I_{2}-I_{1}\notag\\
&= 0.667 -0.5 = 0.167\,{\rm{A}}\tag{6}
\end{align}
$$

と求まる。よって、$${10\,{\rm{Ω}}}$$の抵抗で消費される電力$${W}$$は、

$$
\begin{align}
W &= R{I_{10}}^{2}\notag\\
&= 10\times 0.167^{2} = 0.279\,{\rm{W}}\tag{7}
\end{align}
$$

となる。よって、答えは、(1)である。

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抵抗の合成 電気回路
https://note.com/elemag/n/n80cef07bc097?sub_rt=share_pw

サイト

https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

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