今、バンドを続けるという事
知り合いの娘さんが、幾つものコピーバンドを掛け持ちしているそうで、心配やら応援して良いのやら、親としては落ち着かないのだそうだ
近しい人で音楽をやっている人もおらず、齢五十も過ぎてバンドを続けている自分に、どうしたものかと度々話題を振ってくる
自分は15歳でギターを始めて今年で38年目になる
今まで一度も活動を止めていた時期は無いのだけど、それは自慢になるのかと問われれば、長く続けることが正解とも思えなくて、バンドマンの親の気持ちが知りたいなら、ウチの母親に訊いた方が余程参考になるのではと思ったりもする
そもそも自分はギタリストだと名乗れるほどの技量も無く、ことプレイヤーとして語れる経験則は何も無い
何故なら自分はプレイヤーよりも「曲書き」としての自認が強いからだ
ギターを始めた当時、流行りのテクニカルな速弾きには全くついていけず、これは自分には無理だと早々に見切りをつけ、コードだけ山ほど覚えて、ギターを始めて一年と経たず自分の曲を作り始めた
この「自分の曲を作る」という行為が、何にも代え難い高揚感があった
その初期衝動がずっと今日まで続いている
自分の中で気持ち良いメロディとコード進行を苦心して探し当て、歌詞として自分の頭の中を言語化していく
ようやく出来上がった曲を、バンドメンバーで喧々諤々やりながら解体し、また再構築して人前で披露することの繰り返し
この作業を幸いな事に未だに楽しめている
前述の知り合いとの会話の中で「プロでも無く趣味でも無く、どういうスタンスでバンドを続けているのか?」という話になった
活動を通してご飯が食べられるほど儲けが出る訳ではないし、不甲斐ないステージだったにも関わらず「今日も楽しかった」なんて済ませられるほどポジティブなマインドも持ち合わせてはいないのに何故続けるのか?
ただ自分なりの答えは出ていて、「引退のない高校の部活動みたいなものだ」と伝えると、酷く腑に落ちたようだった
勿論勝ち負けではないのだけど、自分にとって曲を作ることもライブで演奏することも、常に公式戦みたいなものだ
地区予選一回戦だろうが決勝戦だろうが、後で言い訳はなるたけ少ないように、やりたいこともやりたくない事も沢山やって、出来る限り日々準備を続けるしかない
長いこと数多くの曲を作ってきたけれども、まだまだやったことのないリズムや作ってみたいメロディは山ほどあるし、歌詞として書きたいテーマも沢山ある
それを作り切るまでは多分終わらないのだろうなと日々感じながら、「こんな曲作ったんだけど、どう?」と外に向けて今日もステージに上がり続けている
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