見出し画像

ロボットに電動ラジコンカー用のESCを搭載する方法

はじめに

電動ラジコンカーにおいて、どのようにESCが扱われているかを知らずに購入・搭載すると、選定ミスや ”プログラムで動作させることができなかった” などのトラブルが発生します。

電動ラジコンカー用ESC

私が電動ラジコンカーを始めた頃はサーボモータのホーンにスイッチが繋がっていて、ホーンの角度によってフルスロットル前進、低速前進、停止のスイッチ位置を制御する仕様でした。
スイッチは巻き線抵抗に置き換わって無段階変速に進化しましたが、スピード操作の反応はサーボーモーターのレスポンスに依存していました。
そこで、電子的に速度制御を行うESC(当時はアンプと呼ばれてました)が登場します。
サーボモーターの代わりに受信機に接続するので、サーボモーターの中立で停止、60度振るとフルスロットルになる様に作られており、Arduinoで使う場合は、”Servo.h”をインクルードすれば簡単に制御可能です。

購入時の注意
電動ラジコンカー用のESCの主流は前進・ブレーキのタイプです。
後進させるには、一旦ブレーキ操作をした後、中立に戻してタイミング良くもう一度ブレーキ操作をすることで後進します。
このタイプは、前後動作が必要なロボットには使えません!
かなり少数派になりますが、”クローラー用ESC”は素直に前後動作しますので、ロボットに使用可能です。
Webにて取扱説明書をダウンロードし、仕様確認をしっかりした上で購入しましょう。
ちなみにタイトル画右下隅に写っている透明ケースに入っている基板はMax20AのESCです。

プログラム時の注意

ラジコンは送信機のスロットルレバー位置の情報を電波で受信機に伝えます。受信機は電波の情報からスロットルレバーの位置を読み取って、サーボモーターの角度を制御します。
この過程で色々なズレや送信機の微調整機能などの諸々で、スロットルレバーの中立がサーボモーターの規格通りにパルス幅1.5msではありません。
ESCの取扱説明書には以下の手順が記載されています。
①受信機のスイッチOFFを確認の上、スロットルレバーを中立にし、送信機のスイッチON
②受信機のスイッチON
③ESCのビープ音を確認
この手順はESCが電源ON直後に、送信機のスロットルレバー中立に対応するパルス幅を読み込み、読み込んだパルス幅の平均値を中立として記憶し、記憶完了をビープ音で知らせる仕様になっているからです。
”ESCが使えない” の問い合わせのトップがこの中立点読み込みに対する非対応です。
プログラムでは、先ずサーボモーターのセットアップ&サーボーホーン90度を指示、ESCの中立取り込み完了ビープ音までの ”時間+α” の時間待ちをします。
#include <Servo.h>
Servo myservo;
void setup()
{
myservo.attach(5);
myservo.write(90);
delay(5000);
}
ESCが中立取り込みに必要な時間は製品によって異なりますので、実測して確認して下さい。

”ESCが使えない” の問い合わせの2番手は、サーボホーン角度範囲に対する非対応です。
ESCはラジコン用サーボモーターの置き換えで製品化されました。
ラジコン用サーボモーターのホーン角度の仕様は中立±60度です。
Arduinoでは中立を90度で表現して±90度の指定ができます。
つまり、Arduinoサーボ関数では30度~150度の範囲で指定する必要があります。
手持ちのESCの殆どが30度以下や150度以上の角度指定で停止になりました。

”ESCが使えない” の問い合わせの3番手は、ESC側の中立範囲がシビア?
自動調整とは言え、ESCが想定している中立のパルス幅には範囲があります。
”myservo.write(90)”にて出力されるパルス幅が、この範囲外にある場合はESCの中立取り込み完了ビープ音が鳴りません。
この場合は少しカット&トライになりますが、中立の値を87度 ~ 93度 の範囲で試して下さい。
void setup()
{
myservo.attach(5);
myservo.write(91);     // 87 ~ 93 の範囲で確認する
delay(5000);
}

電子工作には、一から勉強して時間を掛けて目的の回路を作り上げるアプローチや、世の中に在るものを目的に合わせて流用するアプローチがあります。
いづれも尊いのですが、ロボット競技にチーム参加する場合は、ハードの完成時期とソフト担当の方がプログラムデバッグする期間試合形式の練習をする期間を逆算した上で、チームで話し合って選択して欲しいと思います。

毎年大会中にモータードライバーを焼損するチームがあります。
自作する場合は、前回記事の熱設計に関する設計計算はデータシートをしっかり読んで行って下さい。

いつもサポートありがとうございます!いただいたサポートは新しい記事の糧となります。 製作記事は部品購入が必要ですので大変助かります!