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やってはいけないコネクタ圧着方法

はじめに

ロボット作りに取り組む高校の部活に参加させて頂いて4年目になります。今年は初めて夏合宿に参加させて頂きました。
最終日に行われた部内大会にて、得点走行中に走行用モーターの一つ(4個使用)が突然停止するチームがありました。
原因が分からないとの事でしたので、大会の後に当該ロボットを調べる事になりました。

動作不良の原因

コネクタからコンタクトを取り出して観察すると、銅線に"予備はんだ"がされていました。
"予備はんだ"をした銅線の表面にはフラックス(絶縁物です)のコーティングができています。
フラックスの色が透明に近いので気が付きにくいのですが、動画の様にアートナイフで”予備はんだ”した部分を擦った時に飛び散る白い物がフラックスです。

予備半田の表面はフラックスがコーティングされています

コンタクトと銅線の間にフラックスが挟まる状態ができるので本来の性能がでません。
厄介なことにテスターの導通モードではOKになります。
モーターなどの電流が大きい用途ではコンタクトと銅線の接触断面積が小さい事の影響が顕著化します。

はんだ付けより信頼性が高い?

私もアマチュア時代は”はんだ付け最強”と思ってました。
”はんだ付け”には”銅”と”はんだ”と言う異種金属にまつわるデメリットがあります。
屋外仕様製品の場合、朝日が当たると共に機器内の温度が上昇し、日が沈むと温度が下がります。
この時、温度膨張率が異なる”銅”と”はんだ”の境界面には応力が発生します(機械的デメリット)。
これが毎日繰り返されると境界面に剥離が発生して抵抗が大きくなるトラブルが発生します。
異種金属同士の電位も経時劣化の要因になります。

圧着の場合はコンタクトが銅製なので機械的デメリットが解消され、専用の圧着工具によって押し固められた銅線の反発力がバランスした状態は電気的・機械的にも強固な結合方法と言えます。

やってはいけないコネクタ圧着

・予備半田
ー構造的に単線なので均一な反発力を得る圧着作業の妨げになります。
ーフラックスのコーティングがされます。
ー異種金属にまつわる信頼性低下が発生します。

・単線の使用
ー撚線はコンタクト形状に柔軟に充填されて、コンタクト内での均一な反発力が得られるますが、単線は隙間ができて均一性が失われます。

あとがき

朝から晩まで作業を見守る機会を得て、普段気が付かない問題点に気付く事ができました。
長い時間一緒に居ることで少し打ち解けた気がします。
また機会があれば参加したいと思います。



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