統一されないサタンの世界に統一されたい僕の闘争!梅原井吹伝

ここは息が詰まりそうだ

すべては同じビックバンの一点から広がったんだ

全てが…宇宙が…始まる前はみんな同じだったんだ


――その部屋は狭く窮屈でベットとトイレだけがある

壁にある木目調の板張りが衝撃吸収材としての役割を果たしている

二重の扉で覆われた入口とは向かい合った方向に鉄格子があり、そこから食事などが運搬される

鉄格子の奥には窓が一つあり、唯一そこが時間を教えてくれるのだ


梅原井吹こと僕がここにいるのは、我々の自我を分裂させたいサタンの仕業なのだ

僕は誇り高き統一者だ、サタンに勝つにはビックバンが起こる前の一つの点に世界は戻らなければいけない。

かつての全体主義は正しかった!我々は元々一つだったのだから全体で動くのは当然だ

こんな志し高き意思を持つ僕には当然救いがやってくるんだ、統一者である我々には仲間がいる

『ガン!ガン!ガン!』


今日も夜になると壁の裏側から何度も叩く音がする、僕と同じ統一者が助けに来たのだ勇気を出し今日は声をかけることにした

「ありがとうたすかるよ」


そう声をかけると壁を叩く音がとまり

「当然だ、わたしもかつては総統とよばれていて刑務所に居たこともある、君と同じだな」


これ以上にない救世主だ!僕と同じ統一の志しをもつあの男だ

「総統にお会いできるとは…しかしいけませんな…我々は元々一つの存在だったというのに私は嬉しくて泣きそうになっているただ自然の、元居た場所に還るだけなのに…」


「君と私は砕かれた石ころの中でも特別大きな破片だ、元々一つの石であってもこれほどに大きい破片同士が元の形に戻るのは特別なことだ無理もない」


総統はそういうと壁を再び叩き続けた、僕は嬉しくて泣いてしまった


次の日白衣のサタンが鉄格子を挟んで話しかけてきた

「君は自分の名前が思い出せるか?」


サタンは呪いをかける時個体名にこだわるのだ、簡単に明かすわけにはいかない

「…」


「じゃあなんでここに居るわかるかい?」


こいつらは嘲笑っているんだ僕を閉じ込めて勝った気になってる

「バカがお前らサタンなどに屈するか」


鉄格子の向こうにいる白衣のサタンに掴みかかり一気に首を締め上げる

こいつも魂になれば母や父のように統一されるにちがいない!

「やめなさい!」


そう叫んで後ろで待機していた看護服のサタン達が僕から白衣のサタンを引きはがす

格子越しに力んでいたので鎖骨のあたりに痛みを感じた

サタンをまた解放できなかった


こんなところで閉じこもっている場合じゃないんだ

母はこういったサタンを殺せと

父はこういったサタンを殺せと

僕の中にはすでに父と母が統一されている

統一されて父と母は喜んでいるのだ

統一される前は僕を異常者扱いしてた

統一された後は僕を宇宙の希望だと言ってくれる

皆だってそうだ統一されればきっとおんなじことを言う

サタンの意思が排除されれば自ずから統一をのぞむのだ

それは魂としての純粋な状態じゃないとなしえない

だからそれに気づいてる僕がやらないといけないんだ


今夜総統と魂を統一させよう


『ガン!ガン!ガン!』


間違いない総統がやってきた、僕も壁に使づいて少しでも総統と近づこう

「まっていてください総統今統一を成しえましょう」


僕も壁を開きますそういって壁に触れた時だ、世界が変わった

何て美しい場所だ!ここは宇宙だ!そう思っていると心の奥で声がする

(見事だ君との統一が図られた!君の意志の強さが壁越しでも私に伝わったのだ)


感動だったこれまで生きてきてもっともうれしい、憧れた総統との統一をなしとげたのだ


また朝がやってきた、いつの間にか寝てしまったようだ

あの狭い部屋に戻っていたそれでも明確に変わったことがある

総統が私の部屋に座っているのだ

「おはようございます!」


敬礼をしながら私は高々とあいさつをした


「君は私であり私は君なのだからそのようなあいさつはやめてくれ」


僕としたことが自分自身に挨拶をするなんてバカみたいじゃないか

「すいません」

と口にしたときそれもまたおかしいことだと思い僕は総統に苦笑いを浮かべた

それを見た総統は初めて笑ってくれたのだ、なんだか僕は救われたきがした

そして総統は統一に向けての計画を僕に話してくれた

僕はそれに頷き大いに賛成した

総統はやはりすごい!総統と統一したことで僕はここまでの計画を得られたんだ


早速僕はサタンの監視の緩い夜にトイレの溜まり水に鼻と口を無理やり押し付けようとしたが入らないし苦しい、後には引けない僕はトイレの便座を叩き割って首に思いっきり突き付けた

ようやくかなうのだ!

昨日宇宙に移動したのは統一される瞬間の総統の魂が見ることできた視点なのだ

再び魂にならなけらば宇宙にはいけないそして魂となればここからでられる

そのはずだ僕は痛みなど感じない何度も何度も首に叩きつける

「うれしいうれしいようやくかなうんだ」


「おい!何をやってる!」

夜勤の私がそれに気づいた時には梅原井吹は変わり果てた姿になっていた

すぐに救急を読んだがだめだったみたいだ高速具を使用するべきだったのかもしれないが

彼は今まで死のうとするような兆候がなかったからわからなかったのだ

彼は一年前自分自身の両親を殺害した

同機は「統一させるため」などと終始一貫して意味不明な論述を並び立てた

が、あるときからサタンがどうこう言って何も話さなくなった

裁判では心神喪失として無罪になったからここに来たというぐらいしかしらない

梅原の隣の部屋には何故か夜になるたび壁を叩く池田がいたが、唯一そいつには心を開いているのか総統などといって話しかけていたのが印象的だ

池田もおかしな奴だったが異常行動が明確だから対処がしやすかった

梅原は本当に最後までわからない

もっと彼らの思考を真に理解できた時は私もおかしくなるときだろう


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