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【アークナイツ4周年】舞台裏の制作秘話(上):世界観の成立ちとカジミエーシュ

◆四周年生放送公式アーカイブリンク: https://www.bilibili.com/video/BV1Ds4y1A7pK/?share_source=copy_web&vd_source=4a533591763dfa743a13affab1a85793
◆舞台裏の制作秘話(下):ライン生命
https://note.com/el_prv/n/nce95cc071031
◆注:
‐翻訳者からの注釈は「*」マークを使用します。
‐中国語の情報をなるべく忠実に伝えるようにと心掛けていますが、文化や表現の違い、または専門用語等、間違って使用することもあると思います。お気軽にご指摘いただければ幸いです。
‐マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/el_prv

海猫:ドクターの皆様こんばんは。アークナイツのプロデューサー、海猫です。今日は、Aria先生と一緒にアークナイツ舞台裏の創作話について語りたいと思います。
Aria:アークナイツのプロジェクトマネージャー、Ariaです。
海猫:では、単刀直入に入りますね。まずはプロジェクト立ち上げ当初のことを思い出しましょうか。
Aria:プロジェクトが正式的に立ち上げられたのは2017年ですね。振り返ってみると結構時間が経っちゃいましたね。
海猫:そうですね。あの時は今こうなることは全然予想がつかなかったんですね。最初、私たちが好きなモダニズム的なデザインを引継いで、アークナイツを現代バージョンのファンタジー世界に設定しようと思いました。


Aria:そうですね。想像してみてください。この私たちが見慣れたリアルな科学技術がある世界の中でいきなりあなたとちょっと見た目が違う人たちが現れて、しかもこれらの人たちはアーツを日常生活に使うとしたら、どんな景色になるでしょうか。

海猫:そうです。私たちもちょっと試してみたかったんです。ファンタジー世界で科学技術が現代に近いレベルまで発展してきたらどんな風になるだろうと。

Aria:当初設定を作る時、敵のデザインも非常に重要視された部分で、だから社内で調整を重ねて考えを整理して、最終的にレユニオンという組織が誕生しました。現代とモダニズムの基調を基に一連の敵のデザインを作り出しました。皆様が馴染みあるキャラクター、初期の兵種は一定のキャラクター性に沿ってデザインされたのです。

海猫:最初の設定において、アークナイツの自然環境は今のような穏やかなものではありませんでした。最初の案では、自然環境がもっとひどく、天災はもっと容赦ないものでした。例えば当時の移動都市はもっと頻繁に移動し、ほとんど止まることがない設定だと覚えています。この世界の大地という概念にとって、無傷の土地はほとんどないというイメージでした。

Aria:本当にこの設定が採用されたら、物語全体の雰囲気はもっと暗くなるでしょう。
海猫:その通りです。前にも取り上げたように、ゲームのストーリーに多様性をもたらすために軽快な都市ドラマ的な物語をいくつか作ったほうがいいと思って、最終的にこの設定が廃案になって改めて案を作りました。
Aria:そうですね。もし移動都市が完全に止まらないのでしたら、今年の春節ストーリー登臨意のような、龍門から玉門に観光しに行くような機会が完全に無くなるわけですからね。
海猫:そうだとしたらユーリカ嬢もガイドになれないでしょう。大量な現実的美学を入れたいと思ってはいますが、やはり物語の方向性を多くの障害や困難を乗り越え、理想と希望を探求する方向へと向けたいと考えてました。

Aria:希望を探す部分は不可欠ですからね。
海猫:でも天災の設定は残しておきたいと思いました。それはまあ、天災は私たちの世界観の中で最初に確立された概念の1つだから、移動都市も、天災に対処するために設計されたものです。で、オリジニウム、源石産業、オリパシーの概念もこの体系を中心に作ったものです。冗談の話、天災を悪の根源と呼ぶこともできるかもしれません。

Aria:一方で、これら同じ基盤に築かれたシステム構造は背景をより論理的にしてくれました。環境的な要素を決めてから、主人公チームのデザインに着手し始めました。最初の予想は今の比べてちょっと違いがあるんですね。
海猫:ちょっとどころじゃないでしょう?最初の設定で環境が極めて厳しいものだから、当時の案で主人公のチームは多くの軍人を雇用した探検組織です。毎日天災に追いかけられながら前に進んで探検を続けるような。
Aria:初稿を見ると、Arknightsという名前は既に決まっていましたが、当時の中国語のタイトルはまだ「明日方舟」ではなかったようですね。
海猫:そうですそうです。中国語は深みがありますからね。1文字に凝縮されている情報量は往々にしてより複雑だと思いますから、聞きやすく、テーマに合った名前を付けるために、ずっと悩んでましたよ。ちなみに当時、組織の名前はまだロドスではありませんでした。でもクロージャさんに似たようなブラッドブルードエンジニアの概念は既にできていました。このイラストの左上のキャラクターですね。当時名前はまだクロージャではなかったんですね。性格も今のと全然違います。

Aria:初期段階でロドス製薬と全く違う案もありましたが、どうやって医学要素を入れたらいいのかずっと考えてました。
海猫:そうですね。このイラストの下にセキュリティー部門のリーダーがいます。彼女の袖章には、応急処置のマークに似たようなデザインがついています。実はコンセプトイラストを描いてた時から、いくつかのアイデアを持っていました。同時期の作品は戦争や衝突にフォーカスするものが多く、そのために軍人や冒険者等に焦点を当てていました。キャラクターの皆さんは卓越した戦闘能力を持つ存在として描かれていました。

海猫:私たちのチームは、他の人と違う内容を作りたいです。当然私本人もそうです。こうしたほうが面白いじゃないかと思ったんですね。だから医療を中心とした組織、それから医療を能力とするキャラクターを作りたいと思いました。それが、皆さんご存じのケルシーに関連した設定です。当時、医者、医療のようなテーマは、十分に注目されていないと感じました。私の親戚の中にちょうど医療に従事する若者、革命に参加したご年配の方と医者がいました。それが独特な視点だと考えた側面もありますし、もう一方で医療精神を伝えたいという思いもありました。

Aria:だからその後、私たちは医療の重要性を認識し、ロドス製薬の大枠も少しずつはっきり見えるようになってきました。
海猫:立案当初の色んなアイデアは今となって、何度も進化と推敲を重ねてきました。基本的な概念の確立と共に、天災、オリジニウム、源石産業を中心とする世界観の枠組が徐々に出来上がってきました。今後もし時間があったら皆様にもっと見せたいと思います。

Aria:そうやってファンタジーと現代技術を軸に、古代と現代が融合したこの大地は、物語の幕を開けました。

海猫:ではもっと具体的な話をしていきましょうか。カジミエーシュから触れていきたいと思います。騎士競技は古典的なスポーツですが、私たちはそれを現代の視点から解釈しました。言い換えれば、私たちは演劇の本質を探究するプロセスにおいて、「騎士」という既存のテーマを中心に発散的思考を行いました。

Aria:当時、私たち自身も含めた多くの方が好きなEスポーツ文化を考えました。カジミエーシュの物語を設計する目的は、現代社会に対する私たちの反省を明確に表現することでした。

海猫:私たちはアークナイツ初期のオペレータープロファイルや騎士と狩人の物語で、カジミエーシュの基本要素を大まかに示し、最も基本的なストーリー要素も早い段階で表せたと思います。でも実際にカジミエーシュで起こった出来事は、マリア・ニアールになって初めて本格的に始まったというわけですね。
Aria:ええ、皆さんも気づいたでしょう。カジミエーシュのはっきりとしたビジュアルフレームはマリア・ニアールの段階で既にできています。カジミエーシュ全体の美術デザインは試行錯誤を経て、明らかに対抗感を持つ赤と青をイメージカラーにして、スポーツ競技や大規模なeスポーツといったキーワードを中心に作り上げていました。

Aria:都市の中心となるものは資本性と商業性です。デザインには多くのネオン広告が使用され、活気ある商業都市感を演出しました。

Aria:競技場のデザインは、現実のスポーツ競技と古代騎士競技場の両方の特徴を取り入れています。メインになる大競技場では、人工地形を設計し、様々な戦場を模擬することによって戦闘の多様性と観賞性を高めました。

Aria:そして、本来騎士家族の旗印が飾られる場所をチームのロゴとスポンサー広告に置き換えました。これは、古典的な騎士家族の精神の衰退と現代娯楽の普遍化を象徴しています。

Aria:競技場内には多くの放送用スクリーンが設置され、これは競技場の実用性とリアリティを確保するためのデザインです。

海猫:マリア・ニアールのテーマについて、比較的わかりやすい部分は時代の変化における資本主義と封建的貴族の衝突で、深く掘り下げると、景観社会*と個人意志の衝突でもあって、私たちは細部にまで設定を補完しようと思いました。カジミエーシュには多くの大企業がありますが、大企業という設定は、カジミエーシュの初期設定の1つです。表現の面から、どのような大企業が現代社会を代表できるかを考えました。そこで、ミェシュコ工業とローズ新聞(Rosebud News)の2社は、多くの設定から際立ちました。
*注:ギー・ドゥボールの『スペクタクルの社会 (La Société du spectacle)』のこと

海猫:テラでのインターネット時代の代替物を見つけるために、私たちはメディアに焦点を当てました。

海猫:映画『市民ケーン』では、新聞界の神様「ケーン」が死の間際に「Rosebud」という言葉を口にしました。物語が徐々に明かされるにつれ、観客は、ローズバッドは安物のそりと関係があることを知りました。おそらくローズバッドは、失われた子供時代、家族や愛を象徴しているのでしょうか?

海猫:しかし、カジミエーシュのケーンは、人間的な部分を何も失っていないのです。彼の野心と事業は、生まれながらの空虚感を埋め、彼のメディアを操る力こそが彼のローズバッドなのです。そして最終的に、カジミエーシュを、私たちの生活を象徴する、最も欺瞞的で批判的な対象が誕生しました。これらの設定を完成してから、私たちは視点をニアール姉妹に戻して、耀騎士の帰還と共に、物語の第二フェースの創作を始めました。

海猫:私たちはそれを特殊な処理をした騎士精神と結び付け、ニアールの騎士に対する定義に預けました。「騎士とは、大地全てを照らす崇高なる者である」。この言葉は、一見一人よがりの英雄主義に見えますが、ニアーライトに登場したほぼすべてのキャラクターの内的指向性を通じて、最終的にカジミエーシュの難題に対するアークナイツの創作者たちのアイデアを引き出しました。
Aria:自己の再覚醒を呼び起こし、美と倫理の回帰を求めるために、「影」が必要です。それはマーガレットという烈日の下で、この大地を歩く人々の影です。

Aria:私たちは人生と運命に弄ばれる疑問から入って、燭騎士ヴィヴィアナを作り上げました。

Aria:伝統によって自我の意義を探す沙門苦行僧というキャラクター像を考えて、追魔騎士を作り上げました。

Aria:また、ニアールと戦う相手は必ずしも汚れた社会の代弁者である必要はないと思いました。血騎士もまた道徳の象徴、そして英雄的な叙事詩の集大成であり、2人の対立は「希望」が存在する可能性を示すためのものでした。
海猫:チャルニーはカジミエーシュの景観社会について正確な比喩をしました。カジミエーシュはショーケースであり、騎士たちは皆商品ですと。しかし、カジミエーシュの物語は、視覚的な愉しみを与えることを主な目的としていません。私たちがやりたいのはその正反対で、あらゆるエンターテイメント至上主義の現象を反省し、ショーケースに閉じ込められた人々を救う話を作りたいです。
Aria:未来にはまだまだたくさんの物語があると信じています。カジミエーシュもまた、本物の国家のように自己進化するでしょう。
(続く)

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