見出し画像

よこたっきゅうのマラソン力

「マラソンは一度目よりも二度目のほうがうまく走れる。それが同じコースであればなおのこと。」
そういうレース運びをした青山学院大横田俊吾選手が20年ぶりにマラソン日本記録を更新。2時間7分47秒。MGCファイナリストも獲得した。

1度目のマラソンは同じ別府大分毎日マラソン。このときは青学勢が大量にエントリー。先頭集団でレースをすすめるも、30km以降に大きく失速。横田選手も2時間12分42秒でフィニッシュしている。これはそのときの写真。フィニッシュしたあと、コースに向かって一礼をしようとするも、脚がふらついて、後ろを向けなかったことがとても印象に残っている。筆者も初フルのときは、フィニッシュ後、コースに振り返ろうとしたら、そのまま後ろに転んでしまったもん。「42kmずっと前にすすみ続けると身体の慣性までおかしくなるのか?!」と感じたほどだ。

このときの青学勢は苦笑いをしながら、「いい経験になったな」とお互いをたたえながら帰っていったのであるが、その「いい経験」をただの思い出にしなかったのが、横田俊吾であった。大勢のチームメイトと出場し、記念受験的な要素が強かった昨年と違い、たったひとりでスタートラインに立つ。

2本目のマラソン、2回目の別大毎日マラソン。横田は明らかに昨年の反省とその対策を準備してレースに望んだ。日差しが強いため、体感温度があがることを知っていたから、アームウォーマーはつけずに手袋だけで。温かい海風でサングラスの下に汗がたまるから、ヘッドバンドで汗止めをし、まっさらのシューズではなく、箱根でも使用することで、クッション性を担保しながらも、跳ねすぎないシューズの選択。

レースは1km3分ペースですすんだ。横田のハーフマラソンのベストは1時間2分36秒。1kmあたり2分57秒ペース。このペースは大学4年間箱根駅伝を走るためにトレーニングしてきた横田にとって、すこし余裕のある、勝手知ったるペース。勝手知ったる動き。位置取りは集団の中盤から後方。集団の動きにはとにかく反応せずに淡々とレースをすすめる。

昨年のタイムを比べると10-15kmだけ急激にあがっている。このペースアップが25km以降に大きく影響したのは間違いない。今年は見事なまでに1km3分を
キープ。キロ3の動きとリズムに自分をはめた。

ここから先は

1,256字

サポートと激励や感想メッセージありがとうございます!いただいたサポートは国内外での取材移動費や機材補強などにありがたく使わせていただきます。サポートしてくださるときにメッセージを添えていただけると励みになります!