エカワ珈琲店版、2016年コーヒーの旅
生産者が収穫した赤く熟したコーヒーの果実は、何ヶ月かの時と幾つもの工程を経て、1杯のコーヒーとなります。
1杯のコーヒーが出来上がるまでの工程を、『エカワ珈琲店版、2016年コーヒーの旅』と題して、簡単に辿ってみることにします。
【目次】
(1)苗木を植えつける
(2)コーヒー果実の収穫
(3)コーヒー豆の精製処理
(4)コーヒー豆の乾燥
(5)パーチメントコーヒーの処理
(6)コーヒー豆の出荷・輸出
(7)コーヒーのテイスティング
(8)コーヒー豆の焙煎
(9)焙煎コーヒー豆を挽く
(10)コーヒーを淹れる
(1)苗木を植えつける
コーヒー豆は、エチオピアを原産地とするアカネ科のコーヒーノキに成る果実の種です。
収穫、精製乾燥、焙煎、粉砕(挽く)という工程を経て、一杯のコーヒーが出来上がります。
コーヒーの栽培方法で一般的なのは、品質が良くて丈夫で収穫の多かったコーヒーノキから収穫した精製乾燥する前のコーヒー果実の種を採取して、その種をまいて育てる方法だと考えられています。
灌漑設備と日光を遮る設備を持つ苗床で、コーヒーノキの苗木を育て、育った苗木を、雨季(降雨期)の間に畑に植え付けるのだそうです。
(2)コーヒー果実の収穫
アラビカ種のコーヒーノキは、大体どの品種も、種をまいてから実が成るまで、3年~5年が必要だと言われています。
コーヒーノキですが、葉はクリの葉に似ていて濃緑色で、ジャスミンのような香りを放つ五弁の白い花をたくさん咲かせるそうです。
収穫する直前の熟したコーヒー果実は、真っ赤で光り輝いていてサクランボに似ているので、コーヒーチェリーと呼ばれているのだと思います。
コーヒー果実を摘み取る作業ですが、多くの国々では、労働集約型の手作業で行われていて、大変な労働力を必要とする作業なのだそうです。
しかし、ブラジルのように、比較的平坦で大きな農場では、コーヒー果実の収穫は機械化されているようです。
手作業で、あるいは機械で、そのどちらか一つの方法で、コーヒー果実は収穫されています。
★ストリップピックト/裸摘み
全ての収穫を、1回で行う収穫方法。機械で摘む場合と、手作業で摘む場合があるそうですが、どちらにしても、枝に成っている全ての果実を一度に取り除く収穫方法なのだと思います。
★セレクティブピックト/選択摘み
熟した果実だけを、労働者の手作業によって摘み取っていく収穫方法。全ての木の間を8日~10日でローテーションしながら、成熟のピークにある果実だけを選んで摘んで行く収穫方法。
セレクティブピックト(選択摘み)は、労働集約的でコストが高くつく収穫方法ですから、主として、高品質のアラビカ種のコーヒー豆を収穫するのに使われている収穫方法なのだそうです。
年に二度、メインとセカンドの収穫期が存在するコロンビアのような国もありますが、ほとんどのコーヒー生産国では、収穫期は年に一度です。
優秀な摘み取り手は、1日に100~200ポンドを収穫するそうで、コーヒー豆に精製すると20~40ポンドとなるそうです。
普通、労働者には、摘み取ったその日に、成果に応じて報酬が支払われていて、その日の収穫は集められて精製処理工場へと搬送されているそうです。
(3)コーヒー豆の精製処理
一度、コーヒーが摘み取られたならば、腐敗を避けるためにも、可能な限り素早く処理を開始する必要があるのだと思います。
場所や地域の資源に応じて、コーヒー豆は、以下の2つの方法のうち、どちらか1つの方法で処理されているようです。
(※)ザ・ドライ・メソッド(乾燥式)
昔ながらの方法で、水資源が制限されている国々では、まだこの方法が採用されているようです。
収穫されたコーヒーの果実は、乾燥場で平らに拡げられて日光乾燥させます。
果実が腐敗するのを防ぐために、一日中、かき集めたり回したりします。
コーヒー豆を湿気から守るために、夜もしくは雨の日にはカバーをかけます。
この作業は天候次第で、コーヒーのそれぞれのバッチで数週間続くこともあるそうです。
コーヒー果実の含水量が11%くらいになると、乾燥した果実は、倉庫に移されて保存されます。
(※)ザ・ウェットメソッド(水洗式)
水洗式の精製処理方法では、果肉部分は、収穫後に果実から取り除かれます。そして、豆は、パーチメントの形で乾燥させます。
そのステップは、次のようになっているそうです。
一番目、新鮮な取れたてのチェリー(果実)は、パルピングマシンに通されて、皮とパルプがコーヒー豆から除去されます。
通常、パルプは流水で洗われて、マルチング(覆土)に利用するために乾燥させます。
シンクに入っている豆ですが、熟成した重たい豆はシンクの底に沈み、軽くて未熟な豆は水に浮きます。というように、重さによって選別しています。
次に、回転するドラムを使って、コーヒー豆をサイズ分けします。
分離した後、豆は、大きな水を満たした発酵タンクに輸送されます。
発酵タンクでの時間は12時間~48時間で、それぞれの要因の組み合わせに、例えば、気候、標高、豆の状態などに依存して発酵時間が違ってくるのだそうです。
このプロセスの目的は、まだパーチメントに付着しているミューシレージの粘着層を取り除くことです。
コーヒー豆がタンクに存在する間に、天然の酵素によって粘着層が分解されます。
発酵が完了していれば、コーヒー豆の手触りが、ヌルヌルよりもザラザラになっています。
その後、コーヒー豆は、水路を通して送られてすすがれます。そして、乾燥できる状態になります。
(4)コーヒー豆の乾燥
コーヒー豆をウェットメソッド(水洗式)によって処理する場合、果実から取り出して発酵させたコーヒー豆(パーチメントコーヒー)は、適切に保存するために水分含量11%前後まで乾燥させる必要があるそうです。
コーヒー果実のパーチメント(内果皮)の内側に入っている豆(内果皮が着いた状態のコーヒー豆)をパーチメントコーヒーと呼んでいますが、そのパーチメントコーヒーを数日間乾燥場に薄く広げて、天日を利用して、あるいは、タンブラー機械を使って乾燥させています。
前者は太陽乾燥、後者は熱風乾燥とも呼ばれているようです。
一度乾燥させると、パーチメントコーヒー豆は、麻袋あるいはジュート袋に入れて輸出するまで倉庫で保管されるそうです。
(5)パーチメントコーヒーの処理
コーヒー生豆の出荷・輸出前に、パーチメントコーヒーを脱穀精選します。
その工程は、次のようになっているようです。
脱穀(hulling)
脱穀機で、パーチメント(内果皮)とその下のシルバースキン(銀皮)を取り除きます。
この工程を経て、商品としてのコーヒー生豆が誕生するのだと思ってます。
研磨(polishing)
研磨機によって、脱穀した後も残っているシルバースキンを取り除く工程。
研磨しても、しなくても、それほど違いが無いと考えられていて、研磨する場合と研磨しない場合があるようです。
格付けと選別(grading and sorting)
風力(エアージェット)や比重を利用したふるい分けによるコーヒー豆の重さ選別、電子選別による色のチェック、スクリーン(ふるい)によるコーヒー豆の大きさの選別、さらに、ハンドピック(手作業)による選別によって、コーヒー豆の格付けをしています。この段階で、発酵豆、黒豆、カビ豆、虫食い豆、ドライチェリーなどの欠点豆が取り除かれているのだと思います。
(6)コーヒー豆の出荷・輸出
パーチメントコーヒーを脱穀すると、輸出向けのコーヒー生豆が誕生します。
コーヒー生豆を詰めた麻袋は、普通のコンテナ容器や内側がプラスチックになっているコンテナ容器に保管されて船積みされます。
毎年(2010年代)約700万トンのコーヒー生豆が、生産国から消費国に向けて出荷されているそうです。
(7)コーヒーのテイスティング
コーヒー豆の生産段階、コーヒー豆の輸出・輸入段階、コーヒー豆の焙煎段階と、色々な場面でテイスティングが行われています。
テイスティングは、普通、テスト用の焙煎機を使って焙煎して、その焙煎したコーヒー豆を粉砕して、その粉砕したコーヒー粉をカップに入れて湯を注ぐという方法で実施されているようです。
テイスティングの専門家が、カップのコーヒーをスプーンですくってカッピングしています。
(8)コーヒー豆の焙煎
コーヒー生豆を焙煎すると、茶色や褐色の香りの良い焙煎コーヒー豆となります。
消費者は、この焙煎コーヒー豆を、お気に入りの焙煎屋(珈琲屋)さんで購入しているのだと思います。
焙煎コーヒー豆の賞味期間は、焙煎日から1か月~1か月半くらいが限度なのだと思います。ですから、コーヒー豆の焙煎は、生産地ではなくて消費地で行うのが普通になっています。
(9)焙煎コーヒー豆を挽く
焙煎コーヒー豆を粉砕する(挽いて粉にする)のは、カップコーヒーの中にできるだけ多くの風味を移転することが目的なのだと思います。
粗びき、中びき、細びきと、色々な挽き方が知られています。
一般的に、粗く挽くよりも細く挽くほうが、コーヒー成分の抽出されるスピードが速くなるのだと思います。
(10)コーヒーを淹れる
ハンドドリップで淹れる、マシーンドリップで淹れる、サイフォンで淹れる、フレンチプレスで淹れる、エスプレッソマシーンで淹れると、色々な淹れ方があります。
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