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年老いた珈琲豆焙煎屋の独断と偏見に基づくコーヒー伝播史

プロローグ

1992年、中公新書から出版されて、2020年の現在までロングセラーを続けている臼井隆一郎さんの名著『コーヒーが廻り世界史が廻る』の端書(はしがき)からの引用です。

東アフリカ原産の豆を原料とし、イスラームの宗教的観念を背景に誕生したコーヒー、近東にコーヒーの家を作り出す。ロンドンに渡りコーヒー・ハウスとなって近代市民社会の諸制度を準備し、パリではフランス革命に立ち合い、「自由・平等・博愛」を謳いあげる。その一方、植民地での搾取と人種差別にかかわり、のちにドイツで市民社会の鬼っ子ファシズムを生むに至る。コーヒーという商品の歴史を、現代文明のひとつの寓話として序述する。

この端書は、人類が珈琲を発見してから、今日、私たちが楽しんでいる嗜好飲料としてのコーヒーに至るまでの長い年月の歴史を簡単に語ってくれています。

【参考】『年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ』にエントリーしている記事、「エカワ珈琲店版、コーヒー伝播史」は、この記事の縮刷版です。

コーヒーの発見伝説とコーヒー飲用の始まり

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