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実例で学ぶ!Narrow QRS頻拍のみかた

割引あり

全国の皆さん,こんにちは。えかげますたぁ,Dr.ヒロです。2024年度もスタートしましたね。充実した毎日を過ごしている方,何かに向けて鋭気を養っている方,はたまた,今の自分の環境(境遇)を何かしら変えていこうと思っている方・・・ホントに様々だと思います。

でも,どんな職種,立場であれ,臨床現場では“narrow QRS頻拍”の患者さんに遭遇するはず――そう,頻繁にね。
もちろん,全部が全部,心電図検定やX/Twitterなどであれこれ議論されるような,難解で,“ひとひねり”(いや“ふたひねり”?)もあるようなケースではないと思います。

別にアクロバティックな読みができなくても良いのです。ごくごく基本的なことが当たり前にできれば良いんです(ボク自身も基本的にはそれ以外できません)。実例を用いて一つずつ学んでいきましょう。少し長くはなりましたが,丁寧な解説を是非ともご覧下さい。では,問題からはじめます!


【注意】本記事は,noteでの心電図サブスク
『目指せ合格!心電図検定対策講座』
の一つとして扱った記事【第7回】を加筆・修正したものです。
https://note.com/ekagemaster_hiro/n/ndd873590ec11?from=membership-note
メンバーシップ会員の方は,そちら(上記)を見て頂くだけで大丈夫だと思います(圧倒的にコスパも良いはずです)。ご希望があったら,こちらもメンバー様が閲覧できるための工夫をしてみますが・・・。


今回の症例

52歳,男性。1時間前からの冷汗を伴う胸痛の訴え。若年時から時折このような症状が発作的に出ることは自覚していた。今回は特にきついため,自身で救急要請。救急外来で来院直後に記録された心電図を示す【図1】。橈骨動脈は触知可能だが,自動血圧計では測定不可能。

【図1】52歳,男性の心電図

【問題1】心電図所見として最も適切なものは以下のうちどれか。

 (a) 心房細動
 (b) 心房粗動
 (c) 順行性房室回帰頻拍
 (d) 房室結節リエントリー頻拍(slow-fast型)
 (e) 洞頻脈


(症例つづき)
既往歴として,学校健診で毎回,心電図異常の指摘がなされていたが,就職を期に受診が途切れていた。現在,定期的に服用している薬剤なし。救急担当医による処置が行われ,状態が安定した後の心電図を示す【図2】

【図2】応急処置後の心電図〈52歳,男性〉

【問題2】救急外来にてなされた可能性のある初期対応として,適切な内容はどれか。以下のうち2つ選べ。

 (a) AED装着
 (b) アデノシン三リン酸(ATP)急速静注
 (c) 心臓マッサージ
 (d) 一時型心臓ペーシング
 (e) 頸動脈洞マッサージ


【問題3】2枚の心電図も総合し,本症例の診断として,もっとも適切なものを一つ選べ。

 (a) ST上昇型心筋梗塞
 (b) 右室肥大
 (c) 先天性QT延長症候群(LQTS)
 (d) WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群
 (e) Brugada症候群


今回の症例は,いわゆる“narrow QRS tachycardia”を呈する中年男性です。

主訴だけ見ますと,心筋梗塞などの急性冠症候群を考えさせる感じですね。もちろん,実臨床では「不整脈+虚血性心疾患」の可能性も考慮して対応する必要ありですよね?“決めつけ”はとても危険ですからね。

なお,試験問題として解くだけなら,2枚目の心電図が基本的には「すべて」語ってくれています。すなわち,頻拍停止後の心電図で背景病態がほぼ確定するというパターンの症例です。どこをどう見るのか,それを学びましょう。

加えて,苦手にする人も多い頻拍診断の“深掘り”についても,いつもより少しだけ詳しくお話いたしましょう。

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