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■ 其の36■ 我が身に返ってきた「長すぎる名前」

🔣わたしは山口県にある「山陽町」という町の出身です。隣接していた市町は「下関」「美祢」「楠木」そして「小野田」でした。 小学生のころ漠然と思っていたことがあります。「市町村名は漢字二文字が標準だ」と。実際全国の市町村名をみても、漢字二文字が圧倒的に多いです。
ですから、漢字四文字の名前を見た時には、「それって長すぎじゃない?」と感じていました。書類や郵便物に住所を書くとき「会津若松」とか「大和郡山」「近江八幡」「美濃加茂」なんて書くのは、いかにも面倒くさそうです。それぞれに歴史的な由来や経緯があることは、子供心にもなんとなく分かりました。しかしそれでも、面倒くさそうとか、ちょっと格好つけてるんじゃない?というマイナスの印象を抱いていました。とりあえず自分は「二文字の町」に生まれて良かったなと思っていました。

🔣しかし、よそ様のことをそんな風に捉えていた事が、まさかの我が身に返ってきました。
2005年、国が推奨した平成の大合併の結果、わたしの出身「山陽町」は、隣の「小野田市」と合併し、あろうことか「山陽小野田市」になりました。漢字五文字。日本で一番漢字が多い面倒くさそうな街になってしまいました。

🔣ただ、コトはそれだけに収まりません。いま我が故郷には、日本一長い名前の大学があります。
  ―  山陽小野田市立山口東京理科大学  ―
えっ、と首がおもわず前に出て、二、三度まばたきしないと読めない名前です。 地名が四つも入っていますが、決して冗談ではありません。
ただここまでくると、考えようによっては海鮮丼で言うところの、うに・いくら・カニ・ホタテがのった「特上」みたいにも思えてきます。
経緯があって行き着いた唯一無二の名前なのです。
 ①1995年、あの名門東京理科大学が、ありがたいことに山口に兄弟校
  を作りました。短大からの昇格で、私立の「山口東京理科大学」です。
 ②2005年、先程説明したとおり、合併により「山陽小野田市」誕生。
 ③2016年、大学が私立から公立に衣替えすることになり「山陽小野田
  市立山口東京理科大学」と改名。

🔣そういえば、やたらと銀行が合併を繰り返し、長くて冗談のような名前をみんなが揶揄していた時期がありました。「太陽神戸三井銀行」「三菱東京UFJ銀行」。前者はいま「三井住友銀行」に、後者は「三菱UFJ銀行」という名称になりました。 もしかすると我が故郷の大学もいつか、「国際理科学大学」とか「SOY東京理科大学」に改名する日が来るかもしれません。
 

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