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平和侵害事態にどう対応するか。


 中華人民共和国と中華民国(台湾)の内戦ないし、台湾独立戦争が起こった場合には、合衆国軍がそれに参戦する可能性がある。日本がそれに参加する気はなくとも、合衆国軍の基地が日本にあるわけだから、日本が戦場になる可能性がある。正確に言うと、在日米軍基地には、治外法権があるだろうから、その基地の範囲は、「日本」であるとは言えないかもしれない。日本と合衆国による交渉の結果生じた特別な区域ということ、企業で言えば、合弁会社のようなものであろう。だから、日本と中国の関係が正常である限りは、日本は戦場にならないと考えるのは、まぁまっとうだろう。しかし、その「特別な区域」は、戦場になる可能性がある。「日米同盟」という考え方は、その「特別な区域」を重視する考え方であろう。だが、普通の日本の領土は、日本人が守らなければならない。
 その「特別な区域」が中国に狙われた場合、どうすれば良いだろう。通常の日本の領土が狙われた場合は、中国が日中平和条約を守らずにというわけだから、中国に非があることになる。その場合、日本の平和(もしくは、世界の平和)と条約(国際法規)が侵害されるであるから、憲法のいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」が損傷するわけことになる。したがって、武力をもっての防衛、反撃(更に、「信頼」が損傷しないように)が可能になる。しかしながら、「特別な区域」への攻撃は、その管轄権が合衆国にあると考えるか、日本にあると考えるかで、対応が変わってこよう。合衆国にあると考えれば、それは、合衆国への攻撃である。それは、日本には関係がないという解釈が可能だから、防衛、反撃は難しい(憲法上の武力行使可能な要件を満たさないため)。しかし、管轄が日本にあると考えれば、それは、日本の領土の場合と同様に、防衛、反撃するようだろう。だから、その「特別な区域」の管轄権の問題は重要である。また、先に述べたように、管轄権を2カ国が持つという考え方もできよう。その場合も、管轄権の割合の分だけ、防衛、反撃することになろうかと思う。つまり、「特別な区域」が狙われた場合も、日中平和条約を侵害したということになる可能性が高いということだ。
 そういうわけで、中国政府が冷静であるうちは、日中間は平和であろう。しかし、台湾がらみで戦争が起こると、日本を防衛、そして相手国に反撃する事態(平和侵害事態と呼んでおく。)になる可能性が高いのである。ただ、かつて、日本が中国を侵略したわけだから、その分、攻撃を甘受するという考え方もできよう。


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