ココがヤベーぜ!桐生ココ!

 昨年末にデビューしたホロライブ4期生・桐生ココが今アツい。早くもチャンネル登録者数10万人を突破した彼女、パッと見ドラゴン娘らしい紅い瞳と角がチャーミングの女の子Vtuberだが口を開けば『とめてみろホロライブ』のキャッチフレーズをほしいままにする、仁義と任侠ほとばしるパワーワードがとめどなく溢れ出る。

キャラクターとしてのヤベーやつな所が魅力なのはもはや周知されきって言うに及ばずの桐生ココだが、後発Vtuberとしての売り込み方、その戦略性も深読みしていくとまさにドラゴン級のヤベーやつであると賢明なファンは既にお気付きだろう。少々遅きに失した感はあるが個人的備忘録ということでヤベーポイントをここにまとめていく。


・『朝6時』という手つかずのパイ

 Vtuber界の配信コアタイムは大体20時からという気配だが、23時からの配信、0時からの配信もザラでありコラボ配信ともなれば相手のこともあって、と2時間3時間と長々たっぷりライブ配信するのも珍しくない。つまりは、Vtuber界は夜深く朝が遅い。昼におはようツイートをするVtuberもいるし自身の配信でもコラボ配信でもスケジュールを寝坊により遅刻するVtuberの話は時々聞こえてくる。演者もファンも互いに睡眠事情はガッタガタだ。

 そんな業界に対して桐生ココは「あさココLIVE」と銘打ってなんと朝6時から・月から金の帯で・約20分という配信形態をとったのである。なるほど、今や何千人という演者がひしめく群雄割拠のこの界隈で後発が知名度を得るには、他者とかぶらない時間帯に配信を行うという手法自体は有効的だ。

だからってこんな早朝を戦場とするのは理屈上はできるけど実際にやる奴がいるか!と最初は思わずツッコミを入れてしまうほど驚いたものだが。何時起きなんすかココちゃん?

ともあれこの戦法は今のところヒットしており視聴再生数も平気で8万、9万、10万と相当な数値を叩き出している。通学・通勤前の平日朝帯は桐生ココの独壇場だ。寝起きの頭に叩きこまれるココちゃんのとんでもねぇ語録の数々は目覚ましに適しているっちゃ適しているのが面白い。眠気は実際に吹き飛ぶ。

ファンを健康にするためにやってるんだから見て寝るんじゃない。見て起きろ。

これによりどれだけ発言がヤベーものでも事実として、コンテンツの在り方として清楚で高潔であるためヤベーはある程度中和され絶妙のバランスで存在が成り立っているのも見どころだ。さすがドラゴンなだけあって言語センスはヤベーながらも己の格を落とさないという手腕が光る。


・『ニュース番組』のテイでハコ推しを捗らせる

 「あさココLIVE」がコンテンツとして秀逸であるなと目を見張った点として、朝のニュース番組という形で所属先であるホロライブの身内をコント的にニュースとして取り上げてイジり倒してネタにし、桐生ココを入口として『ホロライブ4期生』というハコ、ひいては『ホロライブ』という大枠のハコを推せるように他演者へと自然にファンの流入を誘導する向きが挙げられる。

そう、実は「あさココLIVE」は桐生ココのものであると同時に『ホロライブ4期生』のもの、『ホロライブ』のものでもあるのだ。これは現在のVtuber界隈に求められているものを理解した上で応える完璧な体勢である。にじさんじ・ホロライブの人気が定着した要因である『演者同士の繋がり』を、1回視聴したら覚えて忘れない強烈なキャラクターである桐生ココを入口として4期生デビュー初手からがっちり見せつければ後発でも認知に後れを取らないでいられる。自身の強さを上手く利用し同期丸ごとでよろしくご愛顧いただけるシナジーに期待し活用していくスタイルは桐生ココを単純にカワイくてヤベー、アイドル的な女性Vtuberというイメージに留まるものではなく3500歳のドラゴンらしい歳を重ねたクレバーさを深読みせずにはいられない魅力的な女の子に魅せているのではないだろうか。

この戦略の結果実例としてとりあえず現時点で、パワポ天使ちゃんと角巻わためちゃんは覚えました。ご参考までに。


・「ライブ配信中に動画を挿入」は色々とオイシイな?

 Vtuberとして伸びていくにはやはり生配信ばかりに寄るのではなく動画を作りアップするのが肝要、という意見は識者や演者から幾度となく出ている。しかしそれを理解していても数分の動画を1本作るにも裏で何時間と作り手の苦労が存在しているとなると中々安定した実践・運用は誰もができるわけではない。

この悩ましいVtuberの裏の台所事情に対するひとつの活路を「あさココLIVE」に見た気がした。1分前後の短時間の動画をニュースのインタビューやCMという名目で約20分のライブ配信の中に盛り込むという手法は動画提供側も短くて済む上に効果的(売り手良し)、配信する桐生ココ側としても1人ではなく他演者からネタにご協力いただいて場をもたせることができ(買い手良し)、視聴者ファンはホロライブ同士の仲良してぇてぇ感をたっぷりとキメられる(世間良し)、まさに三方良しの盤面が成立するわけだ。

この「あさココLIVE」をきっかけにVtuber界で縦・横の演者の繋がりを有効利用しての劇中劇動画を織り交ぜての、パシッとしたひとつの番組として仕上がったシチュエーションライブコント・シチュエーション動画コントの流れが興るかもしれない。ていうか興って欲しいとすら思えてくる。長時間ライブ配信でゲームだ雑談だ企画だと仲良しキャッキャするばかりがエンタメVtuberでは無い!という代物をそろそろ求めている視聴者層もきっと居るはずだ。


・は?皿\パリィン!/いわして泣きが入る桐生ココちゃん無限にカワイイし無限に笑えるんだが????

 かように表面は過激な発言がどんどこ出てきてヤベー、でもコンテンツとしての出来栄えはよく練られていてヤベーなココちゃんだが、ここにきて過激ばかりではファンも疲れると思ったのか弱みを見せてカワイイところを強烈にアピールしはじめた。

「あさココLIVE」1月10日回より始まった新コーナーでココちゃんはSteamのゲーム・クッキングシミュレーターで朝ごはんを作る模様をお届けするようになったがこれ無くさないでくれ。永久レギュラー化して。実はこのゲームよく知らなかったので調べてみるとどうもいっとき愛すべき海外バカゲーとして流行ったらしく、海外ゲーらしい操作性の悪さが見ていてよくわかる。そしてそれが『気合いで人間の姿を保っている』というぶきっちょドラゴンなキャラづけのスパイスとして面白く昇華されているのがたまらない。

調理した食材は吹っ飛び、皿は割れと無残なことになって最終的に泣くという1月13日回の料理コーナーは大笑いが止まらない。口では敵なし負けなしのドラゴン娘も物理エンジンには勝てない。ゲームに振り回され弱り果てるギャップ萌え。やはりメリとハリ、強と弱の使い分けの揺さぶりはファンのハートを掴むのに重要という事だろう。これからも頑張ってすぐ割れる虚弱な皿などと戦っていつか完全勝利を見せていただきたいものである。


 ということで現時点で掘れるところを掘った桐生ココの魅力を語ってきたがいかがだろうか。演者の総数は今や膨大になり後発がここから追い上げ抜きんでるのは難しくはなった。しかし、難しいが不可能ではないのを彼女から学べた気がした。Vtuber界はまだまだ終わらない。始まったばかり、いやもしかしたらまだ始まってもいないのかもしれない。そんな希望を彼女から見出す者のひとりでも現れてくれれば幸いである。


1月15日回のクッキングコーナー、伝説として語り継がれて欲しいオチになってて大好き。

えっサポートしていただけるんですか?ほんとぉ?いいの? いただいたサポートはものを書くための燃料として何かしらの物体になります。多分。