創作経緯『1mm法師の場合』

今回の創作経緯は『1mm法師』。
1mmの小人が、男の体内に入り、男の命を助ける話だ。

正直、内容も内容なので、そこまで深く考えて書いたものではないが、笑える話にしたかった。

僕がお風呂から上がったときに、小人が誰かを助けてくれる話にしようと思った。それから、「慣れてます」感を出して助けてくれたらおもしろいんじゃないか、と考え、1mm法師は事務的に命を救うキャラになった。保険の場面がそれをよく表している。

 僕は指示通りゆっくりと起き上がって机の前に座った。死ぬ前に掃除していたので、その紙がどれを指すのかわかったが、言われなければ1cm四方の紙くずにしか見えない。その紙にぐっと顔を近づけると、小さすぎて文字は判別できないが何かが書いてある。
「これは、私が万が一業務中に命を失うことがあった場合、あなたが私の家族に賠償金を払うという契約を結ぶ書類になります。
 まぁお待ちください。何をおっしゃりたいかはわかります。しかし最後までお耳をお澄ませください。 
 裏面にもご契約内容を記載しているんですが、こちらはあなたがもし自殺に成功してしまった場合、こちらから保険金をお支払いさせていただきます」
「え? 僕あなた方の保険入ってないし保険料も払ってないですよ?」
「これは、私どもの自信の表れです。かといって虚勢というわけではございません。万が一失敗した場合はきちんと払わせていただきます。そして、この保険は寄付で成り立っております」
「そんな寄付あったんですね」
「公共施設の池的なところに投げられた寄付です。 
 さて、ひも状のものはございますでしょうか?」

                     (『1mm法師』前編より)

なぜ1mmかというと、確か1寸は約3センチで、3センチだと体内に入れないからだ。なので、自分でもいま気づいたが、小人を主人公にする時点で体内に入ることを考えていたのだろう。

笑える話にしたかったと書いたが、ラストはそうしなかった。

死にかけていて、不思議なできごとが起きて、でもやっぱりそれは現実で、自分の命が助かっていた。
そんなとき、どんな気持ちになるのか考えたら、こうなった。


おわり
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短編小説『1mm法師』前編(こちらは最後まで読めます。後編は途中まで有料(¥100)です)

『1mm法師』前・後編が入っているのが以下のマガジンです。

ショートショート集『希望抽象』(15編¥300)

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