創作経緯『私の枠にハマってほしい』

枠にハマる。
凝り固まった価値観や、イレギュラーな仕事が舞い込んできたときに断ることなどを言う。

多くの人が、枠がない方が好きだと思う。
柔軟で、前例にとらわれない。
先進的な感じがする。

それでも、人は枠にハマってしまうし、枠をつくってしまう。枠をはみ出るのが嫌になる。

いままで日常生活を送っていて、いろんな人に出会った。明るい人、暗い人、スベる人、まとめる人、熱い人――。

明るいと思っていた親しい人が、家では暗いことを知ったら、多くの人は驚くだろう。それは、明るい人という枠にハメていたからだ。
人は多面的であることを理解していても、一面だけを見てカテゴライズする。
カテゴライズすれば落ち着くのだと思う。整理整頓と同じように、それぞれの箱の中に入れておけばすっきりする。

唐突だが、障害者をどう思うだろうか。
あまり彼らと関わらない人の中では、障害者はこういう人、という枠ができているだろう。
僕もそうだった。

目の見えない人は、ほとんど点字が読めると思っていないだろうか?

身体的な話や感じ取れない話など、触れてはいけないタブーがあると思っていないだろうか?

こう思っているだろう、こう感じるだろう、どうしてもそう思ってしまうときもあるけれど、それを押しつけてはいけない。
その前に、ちゃんと知らなきゃいけないし、知ろうとしなきゃいけない。箱に入れる前に、ちゃんとその箱でいいのか確認してほしい。

光文社新書『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

おわり

     ※

というようなことを考えて書いたのが、
この小説になります。

短編小説『ぼくだけが見える壁』(途中から¥100)

この短編が入っているマガジンが以下

ショートショート集『希望抽象』(15編で¥300)



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