あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」に寄せて

TAV GALLERYのディレクターの佐藤栄祐です。2014年のTAV GALLERYの開廊以降、60本以上の企画展示をキュレーターや批評家、編集者と共に開催し、これまでに200名以上のアーティストと携わってきました。私は平成5年生まれ。26歳。国内最年少のギャラリストとして、現在の状況に対し、自分なりの見解を述べる必要を感じています。

それは現在、展示再開を目的としたクラウドファウンディングを実施中のアーティストコレクティブ、Chim↑Pomの「ReFreedom_Aichiはアーティストのネットワークとして、経済的な自立性を必要としています。」という一文についてです。この一文から読み解くコマーシャルギャラリーの機能不全およびアーティスト主導のマーケット。またジャーナリストの津田大介氏に関わる「「表現の自由」と「検閲」」の問題についてです。これから述べるのは、あくまでもギャラリストというマーケットに立つ自分としての意見になります。

さまざまな意見をできる限り読みました。それゆえにあまりにも根深い問題に、自分が話の論理的統合を成立させることは不可能に思え、かなり荒削りな議論かと思われますが、それでも、この文章を元に、自分と時間・空間を共にしてきたアーティスト、これから関わるであろうアーティストが、道を誤らないため (迷わないため) に、この文章を公表したいと思います。決して正論を述べたい訳でもなく、業界の対立関係を悪化させたい訳でもありません。一見解としてご参考いただけたら幸いです。


1. コマーシャルギャラリーは民間の検閲機関である

ここから先は

6,539字

¥ 1,100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?