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”例の金具”を検証しました Vol.1

YouTubeで動画を投稿されているPCER24さん(YouTubeチャンネル)という方が、12世代Intel CPUのソケットのLGA1700の、 CPUを固定する金具が硬すぎて CPUが曲がってしまう問題を解決する、オリジナルの固定具を作成して、販売に向けて活動されているのですが、そちらの初期ロット版を運よく購入することができたので、いくつかベンチマークを取って検証した結果をまとめてみました。
なお、こちらの記事の商品リンクはすべてアフィリエイト広告となっています。検証に思った以上にお金も時間もかかったので。
※ここでの検証内容は私個人の環境と見解の元編集された記事ですので、この結果等の内容への質問や意見はPCER24さんへではなく、私のTwitterにでもリプライかDMしていただければ幸いです。

検証環境

 CPU:Core i3 12100 + Core i9 12900K
MB:MSI PRO B660 M-A DDR4
RAM:Team DDR4 3200Mhz 8GB×2枚
 CPUクーラー:リテール + TharmalRight Peerless Assasin
CPUグリス:thrmal grizzly Kryonaut
電源:Silver Stone SST-FX350-G(350W)

弱い空冷クーラーとそこそこ強い空冷クーラーで検証しました。今思えばこんなに高いCPUグリスを使って贅沢な検証ですね…

追記:塗り方はいわゆる簡単かつ塗りムラが出づらいという、X塗り(対角にX字に置く塗り方)を採用しています。

(電源が心もとない感じですが、自宅にある電源ですぐに動かせるのがこれしかなかったので、 CPUしか動かさないし大丈夫だろうと妥協しました)

初期状態と例の金具を使って、例の金具で歪みが解消するかの検証をした時の写真です。取り付け方や固定の仕組みはPCER24さんの動画を参考にお願いします。

PCER24さんの動画の通り、締め付けによる歪みは発生しなくなりました。また、ワッシャーを使う場合と比べても、均一に力が加わっており CPUに無駄な力がかかっていない感じがしました。



精度はかなり高くて、ちょっとでも斜めにセットしようとすると全く入りません。その精度が高すぎる事が仇となったか、CPUを受ける部分のプラスチック部の側面に、PCER24さんもコミュニティで発表していた削れ跡が発生し、カスが出ているのも確認しました。


留め具を外す時点でメーカー保証外になるため、自分は気にならなかったけど、敏感な方やソケットを戻してメーカー保証を受けるつもりの方は気になるかも知れないと思いました。



検証に使うOSはWindows11。
使用ソフトはCinebench R23とHW Monitorを使用。
Windows起動直後はタスクが不安定な時があるため、冷却も兼ねて起動後10分以上放置し、その後マルチ→シングルでスコア、温度を計測。


Core i3 + 例の金具なし + リテールクーラー(室温22.5度)

スコア8161pts パッケージ温度94.0℃

マルチ走らせた直後から急に温度が94度まで上昇し、サーマルスロットリング待ったなしかと思ったのですが、92℃前後のまま最後まで完走。Intelが発表した通り、ソケットの締め付けによる曲がりが発生していても一応動作に影響は出ないようで、連続して高負荷をかける人以外、一般的なブラウジングやオフィス用途では必要十分な冷却性能かなと思いました。

Core i3 + 例の金具あり + リテールクーラー(室温23.0度)

スコア8414pts(+253pts) パッケージ温度74.0℃(-20℃)
カッコ内は金具なしとの比較

面白いことに同じリテールクーラーを使用しているのに例の金具を取り付けただけで、大幅な冷却性能の向上がありました(スコアはブレの範囲かも)。
いろいろな人が検証している通り、歪みによる接地面積の低下で、上手に冷却性能が発揮できていないのが解消された事が原因かと思います。

連続して高負荷が続くゲームをする場合や、動画編集等を行う、できるだけパーツに温度負荷をかけたくないという場合にはこの”例の金具”が有効であることが証明されました。
しかし、この”例の金具”は加工精度の高さや個人制作部品であるが故に、お値段お一つ4,500円と、なかなか高級パーツです。
そのお金を使って、定番のサイドフロークーラー(DEEPCOOL AS500等)を購入するほうが冷却効果アップが見込めると思います。

Core i3 + 例の金具なし + Peerless Assassin(室温23.0度)

スコア8393pts(+232pts) パッケージ温度54.0℃(-40℃)
カッコ内は金具なしのリテールとの比較

Amazonでいつぞやあまりに安い値段で中国代理店が出品していたものが、さらにセールになって投げ売りになっていた物。アジア圏では5,000円以下で購入できる定番クーラーとして定評のあるものらしいです。
購入時の価格は3,658円。難点は国内代理店からLGA1700用のリテンションキットのアナウンスがない事。そのため自分はAmazonのマケプレで1,408円で購入しました。

某レビューでは冷えないと言われていましたが、Core i5あたりまでを冷やすにはこれかなりオススメなんですよね。ただ、すでに後継機が発売する(発売してる?)ようで、もうすでに適正価格での入手は困難。見た目も値段の割りにまぁまぁ高級感があって好みです。
例の金具を購入するより、同価格帯のサイドフロークーラーを~と説明したのはこれが理由です。
普通に充分冷えて、回転数も最大までは回らず静音性もかなり向上しました。


Core i3 + 例の金具あり + Peerless Assassin(室温22.0度)

スコア8403pts(+10pts) パッケージ温度54.0℃(±0℃)
カッコ内は金具なしのPeerless Assassinとの比較

例の金具を搭載しましたが、ほぼスコアも温度も変わりませんでした。
Core i3程度の発熱であれば、クーラーの性能が充分に高ければ、留め具をいじらなくても充分に冷えることが証明されました。
ただ、CPUの歪みを解消したいという点では効果がある事と、グリスが劣化するまで使った場合は変わってくる可能性があります。

Core i3で"例の金具"を使う場合のまとめ

以上の結果から、Core i3 12100で例の金具を使う場合、優先順位としては
よく冷えるクーラーを使う>例の金具を使う
CPUが曲がってしまう事を改善したい場合は効果がある
という結果になりました。

Core i9の検証結果についても検証してあるのですが、時間の都合で今日は間に合わなかったのでVol.2でまとめたいと思います。

本日中にまとめられればと思っていますので、興味のある人はぜひ更新をお待ちください。

2022/04/14 1:20 誤字修正と書き間違いの修正。グリスの塗り方について追記。

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