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Steam無料ゲーム探訪記 #1 『ウワガキアイ』

 探訪記とつくと、なんだか格を感じてよい感じ。企画モノっぽくまとまってます。さて、題して「Steam無料ゲーム探訪記」、記念すべき1作目は探索型アドベンチャーゲーム、『ウワガキアイ』。開発は「ツノウサギの家」、極めて少人数(コアメンバーは二人かな?)のチームっぽい。短いゲーム体験ながら無料の作品とは思えないぐらいに丁寧に作られていて、かつ暖かみのあるフリーゲームの文脈も感じられる良いゲームでした。大手フリーゲーム投稿サイト「ふりーむ」とかでも公開中らしいので、都合のいいプラットフォームでどうぞ。

 見知らぬ研究所で目覚めた主人公は、自分の名前、目覚めるに至った経緯などを何も思い出せないまま、施設内の探索を試みる……、という幕開け。目覚めた部屋とそこから見える4つの扉を中心に、物語は基本一生きな臭く進んでいきます。文章はタッチは軽いけど雰囲気は真面目より。三点リーダーの使い方だけなんか独特だけど読みやすいです。
 このゲーム最大の特徴と言えるのが自分の中にいる何者かに“侵食”されるコマンドシステム。主人公の意思が弱まっていくごとにアクションに支障をきたし、アイテムを使用する権利、セーブをする権利、果ては移動する権利が奪い取られてしまう(そうなるとゲームオーバー)、というもの。

右ふたつのコマンドが奪われている状態。たいへんです。

 この要素は味付けとしてよい感じです。感動的ってほどではないですが、ストーリーとの繋がりとして納得感もありつつ、主人公が置かれた状況を表すバロメーターとして没入感を高める役割を果たしていると感じます。ストーリーの演出とも密接に関わってて好印象。ゲーム特有の要素がちゃんと機能していると、プレイ中の感情が記憶に残りやすくてよいですね。
 演出やイベント絵などガワの部分が魅力的なのはストアページなどから見てもわかると思いますが、肝心のストーリーもとても良かったです。研究所で行われた実験の内容は、明かされていくごとに新たな謎を産み、飽きや中だるみが起こりにくくなっています。主人公とその周りの人たちにフォーカスを当て、丁寧に伏線張ってしっかり回収していくので置いていかれる人は少なそう。
 あと、フラグが重要な探索ゲーって途中で何やっていいかわかんなくなったり、やりたいことはわかってるんだけどなんか上手くいかなかったりで沼りがちだけど、目的意識が常にはっきりしてるので詰まることなく進められたのもよかった。すでに何作か作ってるところだからノウハウがしっかりしてるのかも。クリアまで見ることはなかったけど、公式の攻略チャートがめちゃめちゃ丁寧なのも助かる。マイナーめなゲームや短いゲームだと詰まったときに解法調べようとするけどTwitterとかで断片的な情報見つけるのが限界で結局自分で考えたりちょっと前からやり直してみる方が早い、みたいなことたまにあるし。

……みたいな感じです。みたいな感じのをこれからちょくちょく更新できたらと思います。気持ちまあ月2とかで。
 いつのまにかウィッシュリストにいた『ウワガキアイ』ですが、なかなかけっこうよいゲームでした。しっとりです。
 ただでさえ玉石混淆のSteamの大海のなかで、無料のゲームってさらに玉石混淆の極みなので、少しでも道標としてお役に立てればと考えています。また次のゲームでお会いしましょう。対戦ありがとうございました。



ぼくのゲームライブラリが潤うとともに、文章を書くモチベーションが高まります。すごいです。