英単語の音節(シラブル)は英語学習のためにどうなのか?日本では軽視されていますが、英語発音学習にとって実は重要な概念です。
英和辞典には英単語の音節(syllable:シラブル)が掲載されています。
しかし多くの日本人英語学習者は英単語記憶などの際に、英単語の音節を気に留めた事はないと思います。
本稿では英語スピーキングや英語リスニング学習にとって英単語の音節がどれくらい重要かについて解説したいと思います。
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英単語の音節とは
オックスフォード辞典によると、 “syllable”(音節)は「単語が分割される単位で、基本的には母音と通常は1つ以上の子音を含む」とあります。
例えば、「春」を意味する“spring”はアルファベットの数は多いですが、母音が “i” の1つしかなく、1音節の単語で、英語ネイティブスピーカーはひと塊の音として一気に発音し、認識します。
もしこれを日本語式に、“su-pu-ri-n-gu”と5音節で発音したとしたら、英語ネイティブスピーカーはほぼ間違いなく「春」を意味する “spring” とは認識してくれません。
「美しい」を意味する “beautiful” は何音節でしょうかなどいう難問もあります。
母音ごとに音節を形成するからと考えたりして間違ってしまいがちな問題ですが、正解は“beau・ti・ful”で3音節です。
英単語の音節は、語源など言語形成の歴史も大きく反映していますが、人間のコミュニケーションツールなので、単語ごとにそのような強弱音節リズムで発音することで単語における大事な音節を強調して発声するか、もしくはそのように発声するのがスムーズだから、そのようになってきたと想定されます。
そして英語音声学では、現実として形成されてきた英単語の強弱リズムを帰納法的に英単語の音節の区切り方のパターンを分析したものとなります。
そのような英語音声学における音節の学問的研究成果を知ることは教養として面白いものがありますが、覚えるのはかなり大変なものがあります。
ハンバーガーチェーンの「マクドナルド」略称論争
英単語の音節を考えるのに面白い論争があります。
ハンバーガーチェーンのマクドナルドの略称はどうすべきか。
関東地方では「マック」、関西地方では「マクド」と言われているとよく聞きます。
「マクドナルド」の英語表記は“McDonald’s”です。
“McDonald” の “Mc” は “Mac” の略称でスコットランドやアイルランド系の方々の苗字の前に付けて “son of” を意味しています。
“McDonald” は「Donaldの息子」という意味なのです。
“MacDonald” を音節に分けると“Mac・Don・ald”の3音節となり、この3音節のリズムで発音するのが正確な発音と言えます。
あえてカタカナ表記をすると「マック‐ドン‐アルド」と3リズムの音節になりますが、日本人の語感からするとかなり想定外な感じです。
逆に日本語式に“Ma-ku-do-na-ru-do”と6音節で発音したら、ほぼ英米人には通じないと思います。
ハンバーガーチェーンのマクドナルドの略称をどうするかは個人の勝手ですが、英語学習者としては、英語音節として「マック」(“Mac” “MC”)が通用してもらいたいものだと考えています。
重層構造の英文発音:強弱リズム
英語スピーキングや英語リスニング力の向上ためには、英語音声の強弱リズムを習得することが大事だとよく言われます。
基本的には適切な認識だと思いますが、英語音声はもう少し複雑な構造になっています。
それが重層構造の英語音声という考え方です。
英語フォニックスや英単語の発音記号の意味するところとして、基本的に英単語のアルファベット1文字1文字に対応する音があるということです。
もちろん、そうでない例外も多々あります。
とは言え、基本的に英米人が英単語のアルファベットを見た時、1文字1文字にちゃんと発声音があるとまずは認識します。
もちろん、高速で話すときに音の省略などが起きますが、あくまで基本的な意識としてということです。
次に、英単語における音節の意識が英米人にはかなりあり、アクセントがあり強く発声する音節と、アクセントなく弱く発声する音節とで、強弱のリズムを作ります。
この部分が本稿で論じている音節の重要性で、1つの英単語の強弱リズムを形成する音節を意識することにより、英語スピーキングや英語リスニング力の強化につながる訳です。
最後が英文1文における複数の英単語間における強弱リズムです。
一文の中で強調したい英単語は強く長く発声し、そうでない英単語は弱く短く発声するという一文の中での強弱リズムを形成しています。
このような、英単語のアルファベット1文字ずつ、英単語の音節、英文を形成している英単語をいう3階層の強弱リズムが英語音声の基本となっており、このリズムを習得することが、英語スピーキングや英語リスニング力の向上につながると考えています。
スマホアプリ英語学習時代における英単語音節の学習方法
英語学習を紙の辞書に頼っていた時代は、知らない英単語の発声リズムである音節を正確に知るには、英和辞書の音節表記に頼っており、その役割は大きいものがありました。
英語学習を音声付きスマホアプリで簡単に学習できる時代となり、紙の英和辞書の音節を見なくても、音声で英単語の音節強弱リズムを体感することができるようになりました。
英語音声学の英単語音節分解ルールを記憶するのはとても大変で、とても1単語1単語正確に音節を記憶するなど、非常に困難です。
ポイントは、英単語記憶学習をスマホアプリで音声を使って記憶する際、単にアクセントの位置を気にするだけでなく、1英単語の音節の強弱リズムに意識を向けることです。
この少しの英単語音節への意識が、英単語における強弱リズムを体感する基礎となります。
これにより英語音声の強弱リズムの把握が容易になり、英語スピーキングや英語リスニング力の向上につながるという訳です。
まとめ
紙の辞書で英単語を学習する時代には、英語音節は殆どの日本人英語学習者に気にも留められない存在でした。
しかし、英語音節は、英語の強弱リズムの基礎をなす重要な概念です。
英単語における英語音節の分解ルールを学習するのは大変で、他の勉強や仕事に多忙な英語学習者に十分に習得する学習時間はありません。
英語学習をスマホアプリで英語学習をする時代となり、英単語記憶学習も音声付で簡単にできるようになりました。
英単語の意味とスペリングのみに重点を置くのはなく、英単語がどのような強弱リズムの音節になっているのかに意識を少し向けるだけで、英語音声の強弱リズムを体感でき、英語スピーキングや英語リスニング力の強化につながると考えられます。