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眠れない夜のための短いお話

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#せつない系

君が眠っている間に:愛を囁くだけの話

「課長、こっちこっち」  本田がきつねうどんを持って席を探していると、彼の名を呼ぶ声がした。食堂の喧噪の中でもよく通る声は、間違いなく熊谷理沙のものだった。  無視をする理由もないので、本田は手を振る熊谷の席まで行き、隣へ座った。 「聞いてくださいよ」と熊谷が言った。「こいつ、彼女に一回も愛してるって言ったことがないんですって」  そう言って指さした先に、優しげな顔立ちをした青年がいた。見覚えがあった。熊谷とは同期で、営業部だったはずだ。 「いったいどういう話になってるんだ?