ほしのかせき:寒い夜に星を探しに行くだけの話
星がどこにもなかったから、キコは家を出ることにした。
ありったけの服を着込んで、マフラーを巻いて、ニットの帽子をかぶった。
寒い夜だった。空気はピンと張りつめていて、肌が痛んだ。キコの鼻はすぐに真っ赤になった。
街に灯りはなかった。誰も通らない道路で、信号が順番に色を変えていた。
少し歩くと自販機にたどりつく。コーヒーとタバコが売っている。
小銭を入れていた牡牛がキコに気付いた。
「やあ、こんばんは。こんな時間にどうしたんだい」
牡牛がゆっくりと言った。
「こん