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ゆっくり解説を始めて~『けーねと妹紅の解説部屋』①開設から旧約インセル迄


挨拶

わたしは2019年の春から、ニコニコ動画とYouTubeで『けーねと妹紅の解説部屋』という動画アカウントを運用している。上げているのは「ゆっくり解説」の動画である。

発達障害、反ワクチン運動、Incel(通念とちがって男性はじつは女性よりも弱者である、と宣布するネットミームの体系)、そのほかを題材にしている。

はじめてから二年が閲しようとしている今、楽屋裏の話をここに残しておきたい。ほんとうは動画でやるつもりだったが、動画は作るのに時間がかかるうえに、需要があるかがみえなかった。なにより、肝心なインセルの動画を一刻もはやく視聴者に届けたい。

ゆっくり解説をはじめるまで

まず、ゆっくり解説動画をつくり始めた経緯を語る。

2019年の春に、自分のように社会の底辺で極貧を余儀なくされている人間は、ネットで金を稼ぐことを考えなければいけないと思い立った。生涯収入を上げる途がほかにほぼない。

そこで、動画業に全力を出してみることにした。それまでも、趣味でゲームのプレイ動画などをアップロードしたことがある。自分の全力を出せば動画で収益をあげられないか、チャレンジしてみようというのだ。

この試みは三日ほどであきらめがついた。当時のわたしが作れる動画はゲームのプレイ動画くらいのものだが、こんなものをいくら上げても、千年経っても成果が出ないと悟った。

これはあくまで、自分の全力を出したすえの結論なので、
無理だとわかったこと自体が成果である。
無駄なプロジェクトではなかった。

動画はあくまで自己満足の趣味にとどめておくべきだという科学的な知見を得たので、じゃあ気ままにここでプレイ動画でも一本あげようと考え始めた。

と、ここで

「ただのプレイ動画では芸がない。あの「ゆっくり」というものを使って付加価値を付けたらどうだろう」

と閃いた。

おもにオタクによって動画づくりによく利用されている「ゆっくり」というものについて、ここでは説明を省略する。最近は「ゆっくり」のおかげで、児童のあいだでも東方の霊夢と魔理沙が認知される現象が起こっているという。

わたしが「ゆっくり」を知ったのは、
YouTubeで『最強のメラという人の動画を偶然視てしまったのがきっかけである。

界隈では有名な話だが、この『最強のメラという人はYouTubeの収益が何度も剥奪されたり復活したりする悲喜劇に見舞われている。
わたしは、おそらくYouTubeの“おすすめ”のせいでメラ氏の動画と事件を知った。興味をもってメラ氏の動画を見始めた。

さて、おそらくこの『最強のメラという人が印象に残っていたので、わたしはプレイ動画を「ゆっくり実況動画」に格上げするアイディアがわいた(ほかにもゆっくりを使った動画は見たことがあったはずだが)。さっそく「ゆっくり」動画をつくる環境をととのえた。

定番のフリーの編集ソフト『ゆっくりムービーメーカー』をPCに入れてみたが………このときにはすでに実況動画ではなく「ゆっくり解説動画」をつくることしか考えていなかった! どうしてか、自分にもわからない。自然にそちらへ向けて猛烈に頭が回転しはじめたのだ。

アカウント名、アイコンのアイディア、動画のネタを、ビットコインのマイニングのような熱意でひねり出した。産みの苦しみがサーキットを白熱させて、ファンを回した。

使用するゆっくりキャラは、ありきたりな霊夢と魔理沙ではなく、自分が知っている東方のキャラから択びたい。わたしは東方風神録までプレイしている。
インテリジェントなキャラとして、上白沢慧音に白羽の矢が立った。相方として自然に妹紅も選出される。
『東方永夜抄』をやっていた十年以上前には、まさかこいつらを自分のアバターにする日が来るとはゆめ想わなかった…

アイコンは…「自分で描いた絵」という、画才がないので無謀な案が出たが、無難に慧音の立ち絵をそのまま使って、当座は間にあわせることにした。いまだに代案はない。

解説するネタは………自分が過去に読んだ本と、読んでいない本とが有力な候補として挙がった。今残っている古いメモには

『論語』『大学』『吾輩は猫である』
『虞美人草』『楚辞』『阿Q正伝』
『銃・病原菌・鉄』

などが挙がっている。
漢籍はわたしの人生に紐づけられた因縁の一つである。金に糸目をつけずに欲しいものがもらえるとしたら、わたしは『新釈漢文大系』の全巻セットを要求することを真っ先に考える。ただ、部屋に置く場所がないので、さきに広い家と大きな書架をリクエストしなければならないが。

解説動画をつくるときめた際に、究極のテーマとしていつか『楚辞』をやると決意していた。わたしが世間に布教したいものの筆頭に推挙されるのが『楚辞』なればなり。もはやあさっての方角に解説人生が進んだので、『楚辞』に行き着くのに十年くらいかかりそうだが…オタクになった中学生のころによく街で耳にした歌がおもいだされる

わたしに遷りなさい
始めるまえにあなたがやりたかったテーマへと

ちなみにわたしは、直撃の世代だがまったくエヴァンゲリオンは押さえていません。プラグスーツが肌に合わなかった。

『1984』
最初の解説動画

結局、最初の題材としてえらんだのは、ジョージ・オーウェルの『1984』である。
これは有名な小説なので人の興味を引くと踏んだからだ。

動画の出来は…いま見返すと黒歴史そのものの出来なのがわかっているので、二度と見返さないだろう。動画業は自分の黒歴史を量産する仕事であると、当初から予感していたので、わざわざ消したりはしない。最初の動画として大役を果たしてくれてありがとう。Youtubeのほうでは“おすすめ”に出るくらいバズってるが、もっと新しい動画と再生数を交換したい。

『1984』の解説動画を上げる直前に、まずチャンネル解説の挨拶があったほうがいいと気づいて、急いで適当な動画をつくってアップロードした。これも黒歴史になっているので、できれば消したいが以下同文。

『学問ノススメ』
千里の途も一歩から~習作としての解説テーマ

次に題材にしたのが
福沢諭吉先生の『学問ノススメ』である。書店でパラパラと立読みしたら、自分としてはこれは面白い題材になると確信した。
人には「つまらなそう」と言われたが。
「つまらなそう」というのもわかる。

この『学問ノススメ』は、当り障りがない、初期の解説テーマとして貢献してくれた。すべてやれなかったのは残念だが、もう戻ることはないので眠ってくれ。ありがとう。

『インセル』
欧米で鎌首をもたげる反女性思想の世界

『学問ノススメ』の解説動画を展開する途中で挟んだのが、反女性思想「インセル(Incel)」の解説動画である。「インセル」自体を知ったのは、Twitterのタイムラインだった。
このタイミングでこれを動画にしたのは、この当時の心境として「『学問ノススメ』だけの人だと思われたくなかった」からである。わたしは、いろいろなテーマに食指を伸ばしたかった。

また、「インセル」が択ばれたのは、視聴者が食いつきそうだったからである。「インセル」は、「性」という身近で卑俗なテーマから派生している。

もっとも、自分としては「性」など得意な分野におもえなかったが、短発のネタとして非常におもしろかった。なにより、他に「インセル」を取りあげている動画がきわめてすくない。競争相手がいないのはいいことだ。

「インセル(INvoluntary CELibates)」には、『1984』『学問ノススメ』とちがって紙のソースがない。Googleのみを頼りにして情報を集めなければならなかった。すでに『King of Avalon』という海外の戦略ストラテジーをプレイして、英文の解読に馴れていたのが幸いした。王国296でこの二年以上、英語同盟で海外の人々とdramaを築いてきた、孤高の日本人プレイヤーがわたしである。

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41レベルの“自分の街”が、わたしの本城である。このNFGは私が抜けたら潰れてしまうんよ(泣)

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今はもうどこをどう検索して、上記のインセル動画をまとめたのか、我ながら不思議である。
当時はまだ今ほど「インセル」の内実を把握していなかったので、内容を修正したくなるが、過渡期のリサーチとしてしかたがない。

解説テーマとしての「インセル」はその後、
たっぷりと寝かせたうえで“新約”となって帰ってくる。

まとめ

というわけで、ゆっくり解説を始めた経緯は、「運命」と「最強のメラ」に尽きます。最初のほうを読んで収益が前提だと理解した人もいるでしょうが、収益など度外視してやっています。だれも知らないネタしか引っ張ってくる気がない、天性のオタク気質のわたしが、そんな功利主義を掲げていられるわけがない。今までの人生で作ったものはだいたい、評価自体は良いがけっしてバズらなかったような…

次回は、「インセル」とならぶ主力コンテンツになった「発達障害&反ワクチン運動シリーズ」の裏話をします。

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