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九州北部いろいろ巡礼旅行2023年夏の記録【後篇】~雲仙・阿蘇・福岡・北海道~


08/29(火)六日目 長崎市-雲仙市


三泊もした長崎市と、ついにお別れする朝が来た。雲仙行きのバスにいっしょに乗るために、バスターミナルで友人を待った。

バスの時間のギリギリにやっとあらわれたので、無言で切符を買って一緒にバスに飛び乗った。間に合ってくれてよかった。

片道一時間以上も揺られて、温泉地の雲仙についた。遠い昔の雲仙普賢岳の噴火がおぼろな記憶として残っているが、まさか自分が雲仙という地に足を踏み入れる日がくるとは。

バスの停車場付近。

雲仙地獄

雲仙地獄。

リゾートホテルに荷物を置いてから、噂の雲仙地獄を友人とともに散策した。

いろいろな地獄が用意してあります。

湿原のように木道が設置されているので、硫黄を含んだ蒸気がモクモクと噴出して、腐ったゆで玉子の臭いが充満する荒野を安全に散策することができる。

不気味な濃緑色のせせらぎ。

レモネードと温泉玉子を売る売店があった。店番はである。

レモネードは売切れなのにゃー。

温泉玉子を買った。熱すぎてすぐには食べられなかったが。

支払いはキャッシュでお願いするにゃ。
うちに昔いたデブ猫とぜんぜんちがってスリムである。
地獄の生活は健康的らしい。

雲仙八十八か所

地獄を離れて、山中で仏像巡りをした。八十八という数字のせいでオリジナリティが損なわれているスポットである。四国八十八か所の猿マネをしたところにいい感じの薄っぺらさがある。

山道に点々と仏像がある。
この顔といい、小っこさといい、味がある。

木花開耶姫神社

山歩きがつらそうな友人を尻目にして、山中の神社を拝みに行った。普通の神社とは違う珍スポットなので…


ほら、珍スポットだ。
シヴァ神が雲仙へ湯治にきたにちがいない。
女神? 説得力はある。
穴オソロシ。

日本にたくさんあるとオタクがよく言っている性器崇拝の遺物だ。じっさいはあまりみないけど。実見できてよかったが、これを拝んで何のご利益があるのだろう。

縁起が記載されている。

「己の持物が太く逞しくなりますようにと拝むのである」。
直球の動機で拝むものらしい。真面目なのかふざけているのかわからないところがいい。


満明寺

真言宗のお寺に参拝した。浄土真宗でも日蓮宗でもなく、真言宗の寺を実見するのは貴重な機会だったのでもっとよく観察しておけばよかった。日蓮系と浄土系は多すぎてありがたみがない。わが家の菩提寺は日蓮宗である。

金色の釈迦如来。
歩き疲れた友人がここで休息をはじめたので、
自分は子供のようにその辺を冒険していた。
街に降りて買った黒胡麻ソフトクリーム。
せんべいが大日如来様の光輪のようだ。

友人はバスに乗って自宅に帰っていった。彼の路銀が自宅まで持つか心配だったので餞別を渡した。また会おう。


雲仙温泉 雲仙東洋館

今夜の宿に入った。この旅行でただ一泊かぎりのリゾートホテルである。せっかくこんな町に来たのだから、温泉に入って少々贅沢をしたい。外出はせずに朝まで館内で楽しむぞ。

ああ、ふかふかの布団。
旅の疲れがおどろくほどに取れそう。

共同の浴場は最上階と地下で二か所もあって、露天風呂から雲仙の街を眺望すると贅沢な気分になれた。まるで観光客になったようだ(最初から観光客なのだが、カプセルホテルとご朱印集めのミッションばかりで、この旅のあいだに観光をしている自覚はなかった)。携帯が防水ならば絶景をメモリーに残しておいたものを。

夕食はバイキングだった。時間通りに一回の食堂に行っても、なぜかまだ準備中で、三十分は待たされた。
それはともかく、この旅行で一番の思い出になりそうなほどたらふく御馳走を堪能させてもらった。佐賀で泊まった安いサガシティホテルもバイキングだったが、東洋館のほうが圧倒的にメニューが豊富である(サガも値段以上に満足させてもらったが)。

アップルパイとポテト、白玉。
初手からデザートを食うのだ!
チーズケーキと果物。
フリーダムな順序で食事ができるのはバイキングの良さである。
蓮根のてんぷらとキムパブ、春巻。
海藻サラダとケーキ。
海藻サラダほど美味いものはない。
ワッフル。
主食は白玉。

食べるものすべてを写真に収めるのはあきらめた。食べることに集中しよう。

寿司とローストビーフ。

一番食べたのは寿司だった。寿司はめったに食べられないから、数年分は詰め込んだ。寿司バイキングは夢のようだった。

ここを予約するときに、オプションで「九州産トラフグ焼き&から揚げ」を選んでおいた。今までフグを食べたことがなかったので一生ものの体験にするのだ。

宿泊料金は11456円(安い!)で、トラフグは3278円。合せて14884円になる。フグに三千円分の価値はあるだろうか…

これがトラフグ。

これが九州産のトラフグだ。卓上コンロとフグを受領して、自分で焼いて焼きたてを食べる。

これが焼きトラフグ。

………これは、ただの白身魚である。てきとうな白身魚を焼いた味しかしなかった。こんなものか。

これが九州産トラフグのから揚げ。

これも、小骨がある白身魚のから揚げに過ぎなかった。三千円も払って食べることは二度とないであろう。

貴重なフグ体験をさせてくれてありがとう、雲仙温泉 雲仙東洋館。

あくる朝にまた露天風呂に浸かってから、チェックアウトした。

08/30(水)七日目 雲仙市-熊本市-福岡


雲仙でやることはなくなったので、予定を変えて熊本に行くことにした。島原外港からフェリーで熊本に行って、一宮の阿蘇神社に参拝する。

『オーシャンアロー』

バスで島原外港に行ってフェリー『オーシャンアロー』に乗り、対岸の熊本港に上陸する。

船に乗って移動するのは初めての体験である。海も空も船も青くて、気持ちがいい。急な予定変更も旅を盛上げる演出だ。

乗船してから一時間で熊本港に着いた。バスに乗って熊本駅に降りる。

熊本城でも見に行きたいところだが、時間がないのでまっすぐにJR宮地駅に向かう。

肥後一之宮阿蘇神社

13時11分。
阿蘇神社に一番近い駅に着いた。

宮地駅から目当ての阿蘇神社まで20分かけて歩いた。ここに至って空が急に白くなったが、はじめて九州の青空に見放されたらしい。いままでが晴れすぎだった。

阿蘇神社がある阿蘇町は小さな町だが、北海道民の目線でみると、ちゃんと人がいて中身が充実した、持続可能な街にみえた。
北海道は、炭鉱が閉山してから立て直せていない町やら、人が歩いていないことでは日本一の通りやら、未来がない都市のモデルケースの町やらがごろごろしている。北海道はいまだ開拓の途上にあるのだ。
早くから人が住んで文明が継続していた土地は、発展の根がちがう。

一口飲んでみた。美味い!

あとで調べると、湧き水の街としてアピールをしていたらしい。全然気付かずに、阿蘇神社だけを見て帰ってしまった。

回り道をしてください。

そこそこ歩いて阿蘇神社にたどり着いた。雄壮なる楼門は数年前の地震で被害を受けており、いまだ復旧工事の都合によって通行できなかったが、その威容に圧倒される。

小雨がぱらついていたので、
境内に入るまえに手前の屋根付きのベンチで休憩した。
立派な拝殿。
女は右から二回回り、男は左から二回回りすると
"えんむすび"というおむすびがもらえるらしい。
え、ちがう!?
御朱印は書置きを授与していた。
力強いが柔和でエレガントな書風。

宮地駅から特急と新幹線を乗り継いで、福岡市にもどった。初日と同じくホテルキャビナス福岡に泊まる。

夕食。
どこで食べた何だったかは覚えていない。

08/31(水)七日目 福岡市-新千歳空港-札幌市

午後に福岡空港で飛行機に乗って札幌に帰る。それまで、初日に行きそびれた神社を訪問した。

せっかく福岡に来たのに定番の天満宮を訪問していないことに気付いたので行くことにした


水鏡天満宮

水鏡神社。水鏡天満宮ともいう。

太宰府天満宮でなく、駅に近い水鏡天満宮に参拝した。こっちにも道真公はいるので問題ない。


自分はこの天満宮で満足した。

旧官幣大社 香椎宮

九州北部に上陸したならば、ここに参拝しておきたかった。香椎宮の創建は西暦724年。祭神は仲哀天皇と神功皇后。
戦国時代に星野兄弟という狼藉者が乱入して古文書を焼いた惨事の話が忘れられない。

駅から十分ほど歩いた。少々遠い。

参道から横道の坂を上ると、香椎宮の頓宮(別宮)につづく鳥居があった。

しかし、坂道を登って頓宮まで参拝しに行く体力と気力がもうなかったので、鳥居を見上げてから引き返した。

参道にはこれといって面白いものがなかった。本当に香椎宮にたどり着くのか心配になりながら歩いて、道を左右に分けるほど大きな街路樹がたくさんそびえている参道のさきに、やっと念願の宮が。

控えめに脇に立つ官幣大社の碑が、名高い古社の威厳を示している。
香椎宮は夫婦の絆を象徴する社である。
2024年で創建から1300年を迎える。

寺社と史跡が周辺にたくさんあるけど、今回はすべてを回る余裕がない。御朱印だけをありがたくいただきます。

この売店で、また「北海道から来ました。家族にはこの暑いのに南国に行くのかと言われました」という話をした。話のネタがあるだけでよかったといえよう。

売店でニシキゴイの餌を買った。
お前の餌じゃない。
拝殿の鳥居。
どこも驚くほど質素である。
楼門。
門扉にはみごとな菊紋が。
神功皇后様がお植えになったご神木。
悠久の神話が生きている。
この旅の成功を神々に感謝しましょう。
ここも書置きだった。

14時に福岡空港で、往路とおなじくスカイマークの飛行機に乗った。さらば、九州、日の本の故郷よ。願わくはまた吉縁を結ばん。

新千歳空港 雪ミクスカイタウン

新千歳空港で『雪ミクスカイタウン』に寄った。往路ではここに立ち寄る余裕がなかったので行かざるをえない。

北海道の公式マスコットである雪ミク大権現様。
等身大雪ミク如来像。

歴史的遺産が乏しい北海道は、かく新宗教の聖地になれる。東北と北海道の存在意義がこれだ!ラストフロンティアのわが故郷よバンザイ!

雪ミクスカイタウンに寄れたことで、九州になかった成分が補給できた。旅の締めくくりにふさわしい…

エスタ閉店

札幌駅に帰り着くと、最終営業日の札幌エスタをみることができた。

札幌駅の周辺まで行ったときには必ずと言っていいほど立ち寄っていた、複合商業施設兼バスターミナル。あの店もこの店もすべてなくなる。まだ小さいころに親に連れられて地下街を歩いた記憶がある。
リニューアルしてビックカメラが入ってからは、遊び場のように親しんでいた。

地下の百円ショップ。

『Can★Do』の棚がすっかり空になっていた。百円ショップで50%OFFにしたら、一品50円になる。泥棒価格にした甲斐があって、持って行ってもらえてよかったようだ。

が、マスクは残っていた。
元値が330円だという、やけに高いマスクだ。
50円でもいらなかったらしい商品。

エスタの締めくくりが旅の締めくくりになり、心が九州から札幌に戻された。雲仙の硫黄とアヒルの玉子の香りを思い出す暇もなく、この翌日も仕事がある。

一生にまた会えるかわからない友人に会い、一生にまた参拝できるかわからない数々の古社と旧刹に参り、νガンダムの膝下に伏して、原爆の被害者に折り鶴を献じ、西国無双の立花公と五経の編纂者の霊にまみえた。爽快そのものの青天に毎日恵まれて、最高の巡礼の旅になったといえよう。
願わくはまた、神州の霊に導きを得て数年以内にあらたな巡礼の旅に行きたい。すこし節制して旅費を貯めなければ…







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