ひとりぼっちになる練習してるの


小学三年生の時の、地元の夏祭りは、一人ぼっちだった。夏祭りに行けってお母さんに言われたので、行った。この頃から全部の運が悪いので、クラスで仲のいい子が全員引っ越した時だったから、あとちょっといじめられてたから、誰にも誘われず、誰も誘わず、ぼんやり一人で行った。

一人で夏祭り、何にもやることがなかったので、缶ジュースを買ってぶらぶらしてたら、姉が友達と来ていたのと遭遇した。姉は私に言った。「お前友達いないの?一緒に回ってあげようか?」と。

私は、迷ったけど逃げた。姉は学童保育でずっと一人だった私を見かねて一緒にいてくれる優しい少女だったけど、その時の私はなんだか嫌になって、ぷいっと逃げて、姉に見つからないところをぐるぐる回った。


長野県の、りんご畑。ここでも一人ぼっちだった。

中学生の夏休み、祖母の家に遊びに来ていて、姉と、弟と、いとこが来ていたけど、なんだか輪に入るのが億劫で、逃げるために外に出た。外に出て、山に向かって歩いた。戻る道は考えなかった。歩いて、歩いて、歩いて、いつの間にか3時間経っていて、どこにいるかわからなくなった。四方をりんご畑に囲まれて、気がつけば完全なる迷子だった。


高校生の時の体育祭。皆の歓声が、悲鳴が、笑い声が私を一人ぼっちにした。昼食の時間、次はいよいよ応援合戦だね!という雰囲気の中、リュックを背負って、あまりにも堂々と正門から抜け出して家に帰った。


早く解放されたい!という願いと、永遠に終わらないで欲しいという願い、どっちを選ぶ?人の致死率は100%なので、生きてるうちに前者を選ぶ人は愚かですか?と壁に問いかけていると、夜が明けて、新聞配達の音がした






おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?