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幻の銘茶のこと

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宇治は茶所、茶は政所 秘境に残る在来種。幻の最高級銘茶です。
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#煎茶

幻の銘茶のこと(八)室町時代から未来へ

茶摘みと職人 早朝、朝食も摂らずに茶畑へ向かいます。 『朝ごはん食べへん方が身体が動くねん』と川上さん。 茶樹の状態を見てお世話をされます。 茶樹との対話・茶葉との対話は喜代美さんの日課です。 新芽が付き始めると、足を運ぶ回数も増えてそのタイミングを図ります。 天気と相談しながら、茶葉の一番いいタイミングでその日を決めるのです。 6:00頃からベテランの摘み手さんの協力を得て芽摘みが始まります。 約500平米ほどの茶園は、機械で刈ればすぐ終わりそうな広さに感じますが、1枚1

幻の銘茶のこと(二)煎茶

秘境にあるちいさな茶園 永源寺を超えてどんどん山奥を進みます。 美しい川や山の景色にうっとりしているうちに到着したのは茅葺屋根の集落でした。 笑顔で迎えてくださった川上さん。ピカピカのお肌が眩しく思いました。 早速茶畑を案内してくださいます。 山の中まで来たと思えば、更に足元の険しい崖をのぼります。 ここなんですよ。 目の前に見えている風景は想像していたそれとは違いました。 燦々と降り注ぐ太陽の光 整然とこんもり整えられたどこまでも広がる茶樹並木 ...ではなかったの

幻の銘茶のこと(五)最高級銘茶

宇治は茶所、茶は政所 政所の茶樹は『実生・在来種』という日本古来のもので、日本茶の栽培としては約2%だそうです。 室町時代からの茶樹を今でも引きついで育てられていて、当時の味と言ってもいいのではないでしょうか。 茶葉に厚みがあり、害虫に強いため農薬を必要としません。 茶樹の植え替えが無いので、しっかりと根を張り栄養を吸い上げるのでミネラルも豊富にあります。茶樹それぞれに個性があるためお世話は大変です。 一般に約98%を占める " 日本茶 " と呼ばれている藪北茶は、外来種

幻の銘茶のこと(六)秘境政所の謎

政所の謎 永源寺の先では、日本最古級と言われている 母体 の 土偶が発見されています。 1万年ほど平和な暮らしが続いたと言われる、縄文時代草創期のものだそうです。 山の奥深い小さな集落に『政所』と名付けられた地名。 気を付けてみないと見落としてしまいそうな小さな神社に刻まれた紋。 そこにはたくさんのお能面と衣装がありました。 このあたりは惟喬親王開祖『木地師』発祥の地です。 かつて、一般に使用を許されなかった最も高貴な色とされた『紫色』 その原料となる絶滅危惧種『紫根』の栽

幻の銘茶のこと(七)政所のくらし

「お米もここ美味しいんよ」 近江米は有名ですが、山側で育つ竜王のお米は山からの水で育つので更に美味しいそうです。 「あっためたろか?」 「いえ、冷たいままで!」迷わず言いました。 美味しいお米は冷えた時にその味が出ます。 喜代美さんが朝炊いておひつに入れておいたというごはんを出してくださいました。 至福・・・ 何気なくされている政所の生活が、なんだか地に足がついていてホッとして そしてお洒落に見えます。 「金胡麻を乾かしてんねん」川上さんが栽培された無農薬の胡麻。 国産