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成功談は「運」で成り立っている【弱小翻訳者のつぶやき】

弱小英日・日英翻訳者のeilayです。

私がなんでどうして翻訳者になって今に至っているかという振り返りをぼちぼちと書こうかと思っているのですが、これから書いていくことはあくまで「私の経験」です。n=1です。エビデンスレベルとしては最も信用ならないやつです。ただ、なぜそんなもんを書こうかと思ったかという理由をちょっとだけ述べさせていただきます。

このコロナ禍の時代、在宅ワークできたらいいな、フリーランスで働けたらいいな、と思う方が増えたのではないかと思います。で、そういう方は「フリーランスの翻訳業ってどんな仕事だろう?」と思って翻訳者が書いているSNSやブログなどを検索して読まれているのではないかと思います。そうすると、翻訳で成功されている方々の著述がたくさん見つかります。そういう方々の著述を読むと、「なんか私にもできるような気がする」的なわくわく感が生れたりします。

でも、これも「私の経験」から思うことなのですが、他人の成功談って「自分」には当てはまらないことが圧倒的に多いです。ネット上でも本屋さんでも、世の中にはビジネス成功者のノウハウ本や自叙伝などがあふれていますが、そういうのをいくら読んでも一向にお金持ちになりません。それはなぜかというと、「成功」というのは「運」に左右されるものだからだと思っています。ここでいう「運」とは、漠然と天から降ってくるものというより、その人しか持ち得なかった能力、環境、そして出会いの相乗作用です。他人がその人自身になり得ない以上、その成功談どおりに他人が何かしようとしてもうまくいくはずがありません。一つの成功談の影には、うまくいかなかったという話が累々と横たわって山を形成しているのです・・・。

なので、第三者の経験談から何か学べるとしたら、それは「失敗談」の方ではないかと思っています。私のへたれな来し方を書くのもまたなにがしかの意味があるのではないかと思った次第です。

フリーランスの翻訳者には、残念ながら「こういうルートを進んだら必ずなれます」というようなルートはありません。現在、ある程度の収入を得ている翻訳者さん方はみな、それぞれ別ルートで偶然に左右されながら現状にたどり着いていると思います。かくいう私も、ヘタレながらも20年以上翻訳を仕事として続けられているのは「運」によるものが大きいです。翻訳セミナーなどで出会った学習中の方々の中には「なかなか"とっかかり"が見つからない」と嘆く方が多く、知り合いの同業者の中にも、なかなか安定して十分な翻訳案件を受けるのが難しい、という人が少なくありません。なので、「こうしたら翻訳者になれますよ」とか「翻訳でもうけられますよ」的なアドバイスは私にはできません。

何度も言いますが、大変な努力をしても運がなければ十分な収入は得られない、そしてフリーランスなんてそもそも先行きが不安定。フリーランスの翻訳業とはそんなお仕事です。

でも、じゃなぜ私がそんなもんを何十年も続けているのかといいますと、これもn=1(私個人)の体験談でしかないのですが、翻訳という作業は、一度取り憑かれると離れられない中毒性があるのです。

そしておそらく、この言葉の意味がわかる人は翻訳者に適性がある人だと思います・・・そんな適性を持っていることが幸運なのか不運なのかはわかりませんが。


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